ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『インビクタス 負けざる者たち』

2010-01-01 21:09:58 | 新作映画
(原題:Invictus)


あけましておめでとうございます。


----いやあ、元旦からブログなんて
えいも暇だニャあ。
「まあ、たまにはそういう年があってもいいんじゃない」
----だけど、まだお屠蘇が残っているじゃニャい。
なのに、クリント・イーストウッド監督作品だって?
そんなんでいいのかニャあ。
「うん。いいと思う。
この映画は、このところ密度の濃い作品を立て続けに放ってきた
イーストウッドが、ちょっとだけ肩の力を抜いて作ったような感じ。
それと、映画の中に込められているメッセージからして、
一年の初めにお話しするには、ちょうどいいと…。
エンドクレジットで流れる歌なんて、
明日への希望に対する
楽観的なまでの素直さは、
これまでのイーストウッドからは考えられない」

----素直?
これって確か南アフリカのネルソン・マンデラ大統領に関する実話だよね。
フォーンは、逆に力が入っているかと…。
「そう思うのも無理ないよね。
でも、アパルトヘイト政策と闘って27年もの間、
刑務所暮らしを強いられた歴史上の偉人――
そのことだけで、この映画の方向性はあらかじめ決まっていく。
それだけに、映画としての特別なこと(ギミック)を要しないんだ」

----確かにそうだね。
誰が撮ってもこれは感動作になりそう。
ちょっと前には 『マンデラの名もなき看守』というのもあったし…。
「でしょう。
それでもこの映画がそれだけに終わることなく
観る者を惹きつけるのは
スポーツ映画としての要素も併せ持っていること。
マンデラ大統領の願い、
それは祖国の団結。
そこで彼は、ラグビーに目を付けるんだ。
ラグビーというのは、白人が愛好するスポーツ。
黒人にとってはアパルトヘイトの象徴。
そのこともあり、南アフリカの代表スプリングボクスは
長らく国際試合から追放されていたんだ」

----へぇ~っ。だったら、そのスプリングボクスってチーム弱そう。
「そうなんだ。なんでも“南アフリカの恥”とまで言われていたらしい。
そんな中、マンデラ大統領(モーガン・フリーマン)は、
1年後に開催される南アフリカでのワールドカップの機会をとらえ、
スプリンボクスのキャプテン、フランソワ・ピナール(マット・デイモン))と会う機会を持つ。
チームの強化に力を入れることで、
白人の支持をも取り付け、
結果的に、白人と黒人の壁が取り払われると見たんだね。
それ以前にも、マンデラは大統領警護班に、
それまで自分を監視、敵視していた白人を迎え入れる。
彼らが、プロとしての技量を備えているというのが
その理由だ。
この映画は、このようにマンデラ大統領の姿を通して、
“変わる”べきときには変わらなくてはならないということを訴えていく。
いわゆる原理主義とは正反対だね。
ぼくはこの映画、偶然にも今の日本にピッタリという気がしたね」

----へぇ~っ。それはまたなぜ?
「日本では昨年、自民党から民主党へと政権が変わった。
折しも、状況はこのマンデラの就任時の南アフリカにそっくり。
不況、失業が、世の中を覆っている。
そんな中、彼もまた公約の実現の難しさに頭を痛める。
地下鉄で見た『朝日新聞』の広告にあった
『初志貫徹か、臨機応変か』。
その答とまでは言わないけど、
ここにヒントが隠されている気がしたね」

----ニャるほど。確かに年始にふさわしい映画だ。

         (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ことしこそ、いい年でありますように」もう寝る


※フォーンともどもよろしくお願いします


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20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ぱっと観て (にゃんこ)
2010-02-02 01:25:16
こんばんは
実は、チラシ観ただけの当初はあまり食指も動いて
いなかったんですが(爆)
前情報何もいれずに鑑賞して、感動しまくってました。
やっぱりスポーツってみんなの気持ちをひとつに
するもんなんだなぁ~っとしみじみ感じました。
わかりあうことって必要だよね~永田町のみなさんも、ともしみじみと(ぉぃ)
返信する
チェンジ (かめ)
2010-02-02 03:13:48
こんにちは、
またイーストウッド監督がやってくれましたね。
マンデラ大統領をこういう素材で描くとは。
まさにチェンジをリードした偉大な人でした。
アメリカのリーダーもチェンジを推し進めていますが、既存の勢力に苦戦しています。
日本のリーダーは、チェンジを理解しているのか少し疑問です。

では、また。
返信する
■にゃんこさん (えい)
2010-02-04 21:43:39
おおっ。
にゃんこさん、ご覧になりましたか。
スポーツ映画って、
けっこう、気がつくと入り込んでいますよね。
この映画も、試合の見せ方がうまかった。
しかし、マンデラという人の
懐の深さを改めて知らされました。
返信する
■かめさん (えい)
2010-02-04 21:50:54
こんばんは。
そうですよね。
普通、マンデラ大統領を描くとしたら、
大統領に安る以前の「苦難の道」に
スポットを当てたくなるところ。
イーストウッドの目の付け方は、
さすがでした。
返信する
Unknown (えふ)
2010-02-05 18:02:20
白人のラグビーであれだけ盛り上がったなら、
黒人のサッカーでも同様に盛り上がってもらいたいですね。
でも治安が悪そう・・・
返信する
Unknown (Cartouche)
2010-02-05 20:38:07
住宅や雇用、教育問題・・とやるべきことはたくさんなのに、まずはアパルトヘイトの象徴だったラグビーを受け容れ、それどころか国民が一致団結して応援することで結束力を高めようとしたことが素晴らしかったです。
さすがイーストウッド~。TBさせてください。
返信する
ラグビー (にゃむばなな)
2010-02-05 22:03:36
ちょっとラグビーを知っている人なら、この南アフリカが勝利したチームがどこも世界的に強豪だと分かるからこそ、彼らの偉業がさらに凄いと思いましたよ。

いや~史実とはいえ、世界最強のオールブラックスに勝つとは。本当に凄いです。
返信する
■えふさん (えい)
2010-02-06 20:44:53
こんばんは。
そうですね。
この年に、この映画が公開されるのも
偶然じゃないような。
イーストウッド監督は、
それも織り込んで作ったのかも。
返信する
■にゃむばななさん (えい)
2010-02-06 20:46:39
オールブラックスって、
そんなに強いチームだったんですか!?
ラグビーって、
サッカーほどには日本で市民権を得られていない(?)こともあって、
それは知らなかったです。
欧米の観客が観ると、感動はひとしおでしょうね。
返信する
■Cartoucheさん (えい)
2010-02-06 20:48:10
こんばんは。
イーストウッドは目の付けどころが違いますよね。
しかも、ここまでストレートに、
明日への希望を歌い上げる。
いい意味で裏切られました。
返信する

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