(原題:State of Play)
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
「う~ん。
これは困ったなあ」
----えっ。どうしたの?
なにか問題でも?
「いや、実はこの映画、
観ている間はけっこう気に入っていて、
ある意味、感動すら覚えていたんだけど、
観終わった後、ある人に
『最初から、筋が読めちゃって
そうなったらもうオモシロくなくなった』と言われて…。
ぼくなんか、まったく予想がつかない展開だったからね」
----つまり、自分の意見なんて、
ちょっと人に水差されただけで変っちゃうものと、
自信がなくなっちゃったわけだ。
そりゃ、確かに困った(笑)。
「そう、決めつけないでよ(笑)。
それよりも、自分もそういう風に、
ほかの人の感動に水を差していることもあるのかもと…」
----でも竹中直人も言っていたじゃない。
「人の人生の価値観の数だけ評価の数がある」みたいなこと…。
まずは、そのストーリーを聞かせてよ。
「舞台はワシントンD.C.。
ドラッグ中毒の黒人少年が裏通りで何者かに射殺。
偶然に現場を通りかかったピザ配達の男も口封じのために撃たれ、
重傷を負ってしまう。
翌朝、議員コリンズ(ベン・アフレック)のもとで働く聡明な女性職員ソニアが地下鉄で自殺。
それを知らされたコリンズが動揺し、
テレビ中継中に涙を見せたことから、
実は彼女がコリンズの愛人であったことが白昼のもとにさらされてしまう。
このニュースを知ったベテラン記者のカル・マクフリー(ラッセル・クロウ)は、独自の捜査を始める。
コリンズはカルの大学時代の友人。
コリンズが、ある民間軍事企業と国家との癒着を追及していたことから、
カルはそこに、きな臭いにおいをかぎ取ったわけだ。
カルは前夜の黒人射殺事件と、
ソニアの死の間に、あるつながりがあることを発見。
やがて背後に横たわる大きな闇が姿を現す……」
----へぇ~っ。すっごく、オモシロそうじゃニャい。
「確かに。先の読めないストーリーに翻弄されっぱなし。
これまでにも『大統領の陰謀』を始め、
<真実>を追う記者の物語というのはいくつもあったけど、
この映画は、そこに現代ならではの視点を加えるんだ」
----現代ならではの視点?
「カルが勤める新聞社ワシントン・グローブ紙は経営陣が入れ替わったばかり。
彼の上司である編集局長キャメロンは言う。
『問題なのは、この新聞社の経営悪化よ』。
そう、彼女は特ダネのためには三流ネタも利用せざるを得ないという立場。
このキャメロンを演じるのはヘレン・ミレン。
ジャーナリストでありながら、経営サイドに自分の身を移行しようとしている、
その<転身>過程にある上級管理職をこの上なく巧みに演じていたね。
もう一つの視点というのが
現代のジャーナリズムにおいてWEBの占める存在。
担当はデラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)という女性記者。
ゴシップ担当と軽んじられながらも購読者数が多いこともありプライドも高い。
そんな彼女がカルの相棒に。
こういうとき、よく二人の間には男女の感情が芽生えるものだけど、
この映画は、そんなのまったくなし。
そういう意味でも、これはバディ・ムービーとしてのオモシロさも併せ持つ」
----ニャるほど。現代的という意味が少し分かってきた。
でも、物語そのものは正義が巨大悪を追及するという
けっこう、ありふれたものだよね。
「ところが、かつてと違ってこの映画は、
<正義に対峙するのは悪しき体制>というような、
分かりやすい構図を選び取りはしない。
と、実はここからが書きにくいところなんだけどね。
途中、劇中の某人物が『あれっ?』と思わず目を疑ってしまう、
(これまでのこの手の映画ではありえない)感情的態度を取る。
『なるほど、これが今の時代か…』と、複雑な感想を抱いていたら、
映画は(少なくともぼくにとってはだけど)思わぬ落としどころを見せる。
そのどんでん返しも含め、
凝ったストーリーに感心しつつ素直に
『これは新聞記者たちにエールを送った映画』だと感心していたところに、
冒頭に紹介した『予想通りの展開』の言葉」
----(笑)。確かにそれは困っただね。
「でしょう。
でも、観ている間はほんとうに
手に汗を握る緊迫した時間が続くんだ。
ラッセル・クロウ扮する主人公も
新聞記者ってこんなに大変なの?とびっくりするほどの
危険なアクションを見せてくれるし、
スリルとサスペンスがふんだんにちりばめられている。
実はこの映画は、3人もの脚本家がクレジット。
一人が、最近、 『フィクサー』
『デュプリシティ スパイはスパイに嘘をつく』などで話題のトニー・ギルロイ。
あとは 『キングダム 見えざる敵』や 『大いなる陰謀』を手掛けているマシュー・マイケル・カーナハン、
そして 『アメリカを売った男』の監督・脚本のビリー・レイ」
----そんなにビッグ・ネームばかりがそろって脚本作りなんてできるの?
「ぼくもそれが不思議なところ。
だれかひとりが基本ラインを作って、
それを基に、他の人が膨らませていったのか、
それともスタジオ側が最初の脚本が気に入らずに、
次々と脚本家を変えていったのか? 」
----まさか黒澤明の時代みたいに、
旅館に何日も泊まり込んでみんなで仕上げたとか…。
それはないよね(笑)。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ラッセル・クロウ、あいかわらず太ったままニャ」
「監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルドだ度
お花屋さん ブーケ、アレンジメントetc…
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☆「CINEMA INDEX」☆「ラムの大通り」タイトル索引
(他のタイトルはこちらをクリック→)
※画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
「う~ん。
これは困ったなあ」
----えっ。どうしたの?
なにか問題でも?
「いや、実はこの映画、
観ている間はけっこう気に入っていて、
ある意味、感動すら覚えていたんだけど、
観終わった後、ある人に
『最初から、筋が読めちゃって
そうなったらもうオモシロくなくなった』と言われて…。
ぼくなんか、まったく予想がつかない展開だったからね」
----つまり、自分の意見なんて、
ちょっと人に水差されただけで変っちゃうものと、
自信がなくなっちゃったわけだ。
そりゃ、確かに困った(笑)。
「そう、決めつけないでよ(笑)。
それよりも、自分もそういう風に、
ほかの人の感動に水を差していることもあるのかもと…」
----でも竹中直人も言っていたじゃない。
「人の人生の価値観の数だけ評価の数がある」みたいなこと…。
まずは、そのストーリーを聞かせてよ。
「舞台はワシントンD.C.。
ドラッグ中毒の黒人少年が裏通りで何者かに射殺。
偶然に現場を通りかかったピザ配達の男も口封じのために撃たれ、
重傷を負ってしまう。
翌朝、議員コリンズ(ベン・アフレック)のもとで働く聡明な女性職員ソニアが地下鉄で自殺。
それを知らされたコリンズが動揺し、
テレビ中継中に涙を見せたことから、
実は彼女がコリンズの愛人であったことが白昼のもとにさらされてしまう。
このニュースを知ったベテラン記者のカル・マクフリー(ラッセル・クロウ)は、独自の捜査を始める。
コリンズはカルの大学時代の友人。
コリンズが、ある民間軍事企業と国家との癒着を追及していたことから、
カルはそこに、きな臭いにおいをかぎ取ったわけだ。
カルは前夜の黒人射殺事件と、
ソニアの死の間に、あるつながりがあることを発見。
やがて背後に横たわる大きな闇が姿を現す……」
----へぇ~っ。すっごく、オモシロそうじゃニャい。
「確かに。先の読めないストーリーに翻弄されっぱなし。
これまでにも『大統領の陰謀』を始め、
<真実>を追う記者の物語というのはいくつもあったけど、
この映画は、そこに現代ならではの視点を加えるんだ」
----現代ならではの視点?
「カルが勤める新聞社ワシントン・グローブ紙は経営陣が入れ替わったばかり。
彼の上司である編集局長キャメロンは言う。
『問題なのは、この新聞社の経営悪化よ』。
そう、彼女は特ダネのためには三流ネタも利用せざるを得ないという立場。
このキャメロンを演じるのはヘレン・ミレン。
ジャーナリストでありながら、経営サイドに自分の身を移行しようとしている、
その<転身>過程にある上級管理職をこの上なく巧みに演じていたね。
もう一つの視点というのが
現代のジャーナリズムにおいてWEBの占める存在。
担当はデラ・フライ(レイチェル・マクアダムス)という女性記者。
ゴシップ担当と軽んじられながらも購読者数が多いこともありプライドも高い。
そんな彼女がカルの相棒に。
こういうとき、よく二人の間には男女の感情が芽生えるものだけど、
この映画は、そんなのまったくなし。
そういう意味でも、これはバディ・ムービーとしてのオモシロさも併せ持つ」
----ニャるほど。現代的という意味が少し分かってきた。
でも、物語そのものは正義が巨大悪を追及するという
けっこう、ありふれたものだよね。
「ところが、かつてと違ってこの映画は、
<正義に対峙するのは悪しき体制>というような、
分かりやすい構図を選び取りはしない。
と、実はここからが書きにくいところなんだけどね。
途中、劇中の某人物が『あれっ?』と思わず目を疑ってしまう、
(これまでのこの手の映画ではありえない)感情的態度を取る。
『なるほど、これが今の時代か…』と、複雑な感想を抱いていたら、
映画は(少なくともぼくにとってはだけど)思わぬ落としどころを見せる。
そのどんでん返しも含め、
凝ったストーリーに感心しつつ素直に
『これは新聞記者たちにエールを送った映画』だと感心していたところに、
冒頭に紹介した『予想通りの展開』の言葉」
----(笑)。確かにそれは困っただね。
「でしょう。
でも、観ている間はほんとうに
手に汗を握る緊迫した時間が続くんだ。
ラッセル・クロウ扮する主人公も
新聞記者ってこんなに大変なの?とびっくりするほどの
危険なアクションを見せてくれるし、
スリルとサスペンスがふんだんにちりばめられている。
実はこの映画は、3人もの脚本家がクレジット。
一人が、最近、 『フィクサー』
『デュプリシティ スパイはスパイに嘘をつく』などで話題のトニー・ギルロイ。
あとは 『キングダム 見えざる敵』や 『大いなる陰謀』を手掛けているマシュー・マイケル・カーナハン、
そして 『アメリカを売った男』の監督・脚本のビリー・レイ」
----そんなにビッグ・ネームばかりがそろって脚本作りなんてできるの?
「ぼくもそれが不思議なところ。
だれかひとりが基本ラインを作って、
それを基に、他の人が膨らませていったのか、
それともスタジオ側が最初の脚本が気に入らずに、
次々と脚本家を変えていったのか? 」
----まさか黒澤明の時代みたいに、
旅館に何日も泊まり込んでみんなで仕上げたとか…。
それはないよね(笑)。
(byえいwithフォーン)
フォーンの一言「ラッセル・クロウ、あいかわらず太ったままニャ」
「監督は『ラストキング・オブ・スコットランド』のケヴィン・マクドナルドだ度
お花屋さん ブーケ、アレンジメントetc…
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※画像はアメリカ・オフィシャル(壁紙ダウンロードサイト)より。
編集部長にビル・ナイ、脇にジェームズ・マカボイ、ケリー・マクドナルドという
アカデミー候補作に出ている俳優が出ていることもあって見やすいドラマでした。
ただ終盤は引っ張りすぎで、1h*6より2h*2程度の長さの方が良かったかなと。
このドラマに興味を持ったのは「ブーリン家の姉妹」を見た頃でしょうか
ピーター・モーガンの待機作にこれも入っていたのですが、公式HPが出来た時には彼の名前は消えていました。
リライトが多い映画はイマイチというのが僕の定説なので少し心配ですが、レイチェル・マクアダムスは久しぶりなので期待してます。
http://www9.nhk.or.jp/kaigai/stateofplay/
ちなみにNHKのHPは最後までネタバレしていますのでご注意を
そうそう。これ、TVシリーズがオリジナルなんですよね。
ぼくは観ていなかったのですが、
教えていただいたサイト、
ちょっとだけ覗いてきました。
というのも、あのラスト、
どうしても腑に落ちず、
もしかして「映画だけの改変」と思ったからです。
いやあ、そうではなかったんですね。
真実に主人公が気がつくのが、
場所から、金額に変更はされていましたが…。
でも、出演者が豪華というか渋いというか、
これはTVも観たくなります。
サスペンスとしては王道な気がしますが、
展開が早くておもしろかったですね!
スピード感があるのに丁寧に描かれてました。
それだけに着地点が曖昧なのが残念。
アメリカの闇には手を出せずということでしょうか・・・
そうなんですよ。語り口はオモシロく、
作りとしてもよくできているのですが
謎解きでガッカリ。
そこまで凝らずに「巨悪」でよかったのに…。
ラストの展開が消化不良感が拭えなかったので
そこがちょっとマイナスポイントでした。
語り口はオモシロかったのですが、
あの結末は拍子抜けでした。
そういう意味では、
想像もつかないラストではありましたが(汗)。
元々、ブラピとノートンが降板した時から期待は薄れちゃいましたが(苦笑)
社会的な問題も含めてテーマは良いのに、オチが全てを台無しにしてるように感じます。
映画はここを変えてくれたらもっと良かったのにと残念でした。
ブラピ&ノートンが予定されていたとは
最近まで知りませんでした。
なるほどって感じ。
一昔前なら、それに加えて
亡くなったシドニー・ポラック監督という感じでしょうか。
あるいはアラン・J・パクラ?
でも、そうなると完全に社会派。
だけど、そういうのを期待していました。
古いのかなあ。