ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『黒いスーツを着た男』

2013-07-09 23:27:25 | 新作映画
(原題:Trois Mondes)



----『白いドレスを着た女』とか『青いドレスを着た女』というのは
聞いたことあるけど、これははちょっと…。
「そうだね(笑)。
おそらく配給サイドとしては
フォーンが今言ったその二作のイメージを借りて
フィルム・ノワールっぽさを出そうとしたんだと思うよ」

----主人公は男ということでいいんだよね。
「もちろん。
主演のラファエル・ペルソナーズは、
本国フランスで“アラン・ドロンの再来”と言われている超美形派。
話が流れたとはいえ、
ロミー・シュナイダーの半生を描く映画で
アラン・ドロン役をオファーされていたというから
これは本物だ。
ただ、ペルソナーズ本人は
ネコ科の動物を感じさせるようなドロンの目ぢからだけはマネができないと
その正直な気持ちを吐露している」

----アラン・ドロンもジャン=ピエール・メルビル監督と組んで
フィルム・ノワールには何本か出ているよね。
「そうだね。
ただ、この映画はそこまで暗黒街っぽいものじゃない。
ということでまずは簡単なストーリーを。
社長令嬢との結婚を10日後に控えたアル(ラファエル・ペルソナーズ)は、
深夜のパリで男を轢いてしまう。
友人らに促され逃走する彼だったが、
その一部始終をアパルトマンの窓からジュリエット(クロチルド・エム)が目撃していた。
翌日、病院を訪れたジュリエットは昏睡する夫の妻ヴェラ(アルタ・ドプロシ)に会う。
さて、これがアラン・ドロンだと、
おそらくビクビクしたりはせずに、
冷静に計算して事後処理に当たるはず。
ところがペルソナーズ演じるアルは、
良心の呵責にさいなまされ、病院を訪れてしまう。
しかし、そこに居合わせたのがジュリエット。
何を思ったか、
彼女はアルのオフィスにまで押しかけて
自分は事故を目撃していることを告げるんだ」

----えっ。交通事故とは言え、
相手は轢き逃げするような男だよね。
怖くニャいのかな?
「そこがこのペルソナーズのキャラ。
ドロンほどの翳りはなく、
でも誰もが降り変えずにはいられないほどのハッとするほどの美貌を持っている。
そのときジュリエットの中に沸き起こった気持ち、
警察に言えばいいのにそうしないところが、
この映画のうまさ。
これはラファエル・ペルソナーズだからこそ
成り立つ物語とも言えるだろうね。
彼に近づくジュリエットにしても
ヴェラにその話をするでなく、
自分でアルと交渉して解決しようとする。
おそらく彼女は自分だけが
彼のことを知っているという特別な位置に立ちたかったんだと思う」

----う~ん。複雑だニャあ。
「でしょ。
お話自体はありふれているのに、
それぞれの局面で
彼らが取る行動がちょっと読めないんだ。
そこがありきたりの映画とは違う」

----へ~っ。監督は誰ニャの?
「女性監督のカトリーヌ・コルシニ
彼女は共同脚本も手がけているけど、なるほどって感じだね。
描き方が女性目線。
そうそう、彼女は
ルノワール監督の『ゲームの規則』の中の
『人はみな、それぞれに理由がある』という言葉の意味を考えながら
この映画を撮っていたらしい。
それと、オモシロいのはラスト。
そこでは追加撮影による、ワンカットがプラスされている。
ところがペルソナーズはすでに次の作品の撮影に入っていて
その役のために生やした髭を今更剃ることができない。
で、仕方なくそのままキャメラの前に…。
ところが、それがここでは実に素晴らしい効果を発揮している」

----ニャるほど。
偶然の女神もこの映画にほほ笑んだというワケだニャ。


「これ、アラン・ドロン=ミレーユ・ダルクだったらどうなってたかニャ」複雑だニャ



※アラン・ドロンだったらもっと自分の美貌を自覚している度

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