ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『星の旅人たち』

2012-05-04 23:45:16 | 新作映画
(原題:The Way)


----『星の旅人たち』って、
そのタイトルがいいよね。
「うん。ロマンがあって
それだけで観たくなる」

----実際はどうニャの?
「確かにロマンはロマン。
でも、それは、いわゆる
男と女のロマンスというものじゃない
これは、息子エミリオ・エステベスから
マーティン・シーンへのプレゼント。
この映画の舞台となるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路を歩くことは、
マーティンの長年の夢。
その中で彼の父の故郷ガリシアを目指そうとしたんだね」

----ニャんだか、プライベートな話だニャ。
「うん。ところがそこに、
監督エミリオ・エステヴェスは、
さらに、自分と父の関係を入れていく。
物語の発端はこう。
『世界を見たい』と、
サンティアゴ巡礼の旅に出た息子ダニエル(エミリオ・エステヴェス)。
その彼が、ピレネー山脈で嵐に巻き込まれて死んだとの報が
眼科医トム・エイヴリー(マーティン・シーン)の元に届く。
トムの脳裏によみがえる最後の会話。
―『普通の人はふらっと旅行などできんぞ』
『僕の道に賛成しなくてもいいけど、勝手に判断しないで』
『生き方は違うが、私は今の人生を選んだ』
『人は人生を選べない、生きるだけ』―
フランスとスペインの国境の町を訪ねたトムは、
ダニエルの遺品が詰まったリュックを受け取り、
息子の亡骸とともに帰国するつもりだった。
しかし、土地の警部(チェッキー・カリョ)の
『“道”は自分探しの旅ですから』の一言に、
彼は息子が志半ばで断念せざるを得なかった旅を継ぐ決意をする…
『やり直すために、ふたりで旅立つ。息子と一緒に』」

----ニャるほど。それだけでも感動的な物語になるのは想像できるニャ。
「この映画、
どこがぼくの琴線に触れたかと言うと、
彼を含め、その旅を続ける人々に、
懐かしい“ヒッピー”の香りが漂うところ。
もとより“旅”というもの自体が、
日常のしがらみから離れて
自由に自分でその日程を組むもの。
いわゆる“旅行”とは違うわけで、
“自由”の色合いを帯びるものではあるけどね。
この映画には、
本来ならば全体を覆うはずの息子の“死”よりも、
“解放”感の方が先立つんだ。
これは監督エミリオの資質でもあり、
『ボビー』のときも話したように、
父マーティン・シーンの影響が大きいんだろうね。
まだ、アメリカが希望を持とうとしていた頃の空気に満ち満ちているんだ」

----つまり、これは
マーティン・シーンの影響を受けて育った
息子エミリオならではの映画ということだね。
「うん。
それをそのままスクリーンに焼きつけているんだから、
これはマーティン・シーンにとっても最高のプレゼント。
途中、彼に絡んでくる女性(デボラ・カーラ・アンガー好演!)に対しても、
さして目もくれず、
息子への思いだけを胸にストイックに旅を続けていく。
だからと言って、
その主人公トム・エイヴリーが完全なのかというと、
そういうわけでもなく、
途中で警察沙汰を起こしたりもする。
偏屈、でも真摯。
これは、マーティン・シーンのキャリアの中でも最高の部類になるんじゃないかな。
また、そのトムの脳裏によみがえる息子ダニエルの顔がいい。
翳りのない人懐こい笑顔…。
映画の背景を彩る大自然の表情以上に、
脳裏に焼きつくこと間違いないよ」



                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ところで、なぜ“星”なのニャ」小首ニャ

※“コンポステーラ”には「星の平原」の意味があるらしい度

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