ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『孔子の教え』

2011-09-21 23:31:33 | 新作映画
(原題:孔子)


----孔子って「論語」の人だよね。
そんなの映画にニャるの?
これまで聞いたことないけど…。
「だよね。
実を言うと、中国で孔子が映画化されるのは今回が初めてのことらしい。
文化大革命の時が、そのいい例で、
中国で思想家をまつり上げるのはご法度。
そのせいか、彼のことは中国人よりも
日本人の方がよく知っているんだって。
と言っても、ぼくは知らなかったわけで
もし、“この映画が史実に忠実だとすれば…”の注釈付きだけど、
見どころはいっぱい」

----で、どうだったの?
史実に基づいていたの?
あっ、知らないんだからわからニャいか…。
「いや。どうもそうでもないらしく、
映画としてオモシロく仕上げているみたい。
でも、ぼくはそこが気に入ったんだけどね」

----う~ん。どういうこと?
「たとえば、彼の有名な言葉、
『義を見てせざるは勇なきことなり』
『道が違えば共には進めぬ』
『己の欲せざる所は人に施すなかれ』
『朝に道を聴かば夕べに死すとも可なり』
『非礼なものは 見ず 聞かず 言わず 行わず』
などが、
なるほどここか、というところで登場するんだ。
このエピソードと言葉を結びつけるやり方は、
シーンの“キメ”のセリフとなって
観る方に分かりやすく伝わってくる。
ただ、
最初に語られるエピソード、
殉葬のシーンを見て、
あ~、これは地味な映画だなと…」

----ところが、そうでもなかったワケだね。
「うん。
まさか、ここまでスペクタクルシーンが多い映画とは思わなかった。
まあ、それぞれのエピソードは、めいめい確認してもらうとして、
この映画では、
孔子に軍師としての才能があったという描き方もなされている。
たとえば領土返還のため、
兵士の数を多く見せて相手を欺く。
かと思えば、周囲国の脅威を取り除くべく
城壁をぶっ壊すという実力行使にも出る。
これら“戦”のシーンがいくつも映像として出てくるんだからビックリ。
しかもそれらは実際には特殊撮影を駆使して描かれているにもかかわらず。
中国の雄大な景色の中でのロケであるかのように見せてしまうんだから…
この点でも、感心させられたね」

----ニャるほど。
確か孔子を演じているのはチョウ・ユンファだよね。
「これもビックリだね。
チョウ・ユンファと言えば、
やはり香港ノワールのイメージが強いし…。
これって、ジェイソン・ステイサムがキリストを演じているようなもの
あっ、中身に少しふれちゃうと、
ぼくの中でもっとも印象に残ったのは
ジョウ・シュンが演じた衛の霊公夫人・南子のエピソード。
彼女は司馬遷の『史記』では
そっけなく扱われているということらしいんだけど、
この映画では、孔子を尊敬していて、しかも彼を誘惑しようとまでする。
そしてとんでもない一言を発するんだ。
それは
『先生の苦を理解する人がいても、
その苦から得たものを会得する人はいませんね』

----それはスゴい。
「これを聞いた孔子は、
あわててその国・衛を立ち去る。
孔子も自分を見抜いた彼女に一目置いちゃったわけだ。
このままだと自分も骨抜きにされるかもしれないという
一種の防御的姿勢。
この描き方は、映画としてほんとうにオモシロかった。
それと、これは監督フー・メイの言葉なんだけど、
『ヨーロッパの哲学思想は人間の自由、個性、自己が大切にする。
一方、東洋、特に儒教の教えはあくまで他人との関係、
他人への思いやりを非常に大切にする。
たとえば“仁”という感じ。これは二人の人間関係を表している』

これは、とても印象に残った。
3.11以降、
左右の両陣営みたいな感じで、原発推進派と、反対派があるけど、
どちらも“自分とあなた”を軸に置いていないように見える。
“大事なのは自分と家族だけ”でもなく、
“個人よりも国が先”というのでもなく、
一人ひとりがそれぞれに、あなたと生きる…
こう考えたら、おのずと答は出てくる気がするんだけどね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「スペクタクルと聞いたら観たくなったニャ」ぼくも観たい

※孔子の生涯が見られるだけでも貴重な体験だ度

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