ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『東京公園』

2011-05-02 23:30:47 | 新作映画

----青山真治 監督か…。
なんだか、ずいぶんと久しぶりって気がするニャあ。
「そうだね。
『サッド ヴァケイション』以来だから、約4年ぶり。
ただ、これまでのソリッドなテイストとはかなり違う。
物語のキーとなる場所が公園ということもあって、
春の陽だまりのような温かさに包まれた映画だね」

----どんなお話ニャんだっけ。
「東京の公園で家族写真を撮り続ける大学生の光司(三浦春馬)。
幼いころに亡くした母親の影響でカメラマンを目指している彼は、
ある日、ひとりの男(高橋洋 )から
『彼女(井川遥 )を尾行して、写真を撮ってほしい』と頼まれる。
そして、それがきっかけとなり、
彼は、その周囲にいる女性たちと
真剣に向かい合わなくてはならなくなる」

----ニャんか、すごく端折ってるニャあ。
どうして、そんなことで、
向かい合うようになるの?
「それが、
この映画の語り口の巧いところ。
彼には、母親が異なる姉・美咲(小西真奈美 )がいる。
その美咲は、実は光司を男として意識している。
それを気づかれないようにしている美咲だったが、
光司から年上の女性を撮影していることを聴かされたことから、
心中穏やかではなくなる。
そして、その美咲の気持ちををズバリ彼に教えるのが
光司の友人・ヒロ(染谷将太 )の元カノ・美優(榮倉奈々 )。
とまあ、こういう関係性だね」

----ニャるほど、彼のストーカー的撮影が
周囲にさざ波を引き起こすんだね。
「ストーカーは言いすぎ(笑)。
むしろこれを観て、
映画ファンならばすぐに頭をよぎるのが
キャロル・リードの遺作『フォロー・ミー』
もっとも、監督は真っ先に『シルビアのいる街で』が思い浮かんだみたいだけど。
原作者の小路幸也 もこの本を『フォロー・ミー』に捧げているとかで、
やっぱりね…と。
しかし、この映画、それらと並ぶもう一本…というより、
もうひとりの映画人を意識している節がある。
それは、小津安二郎

----え~っ。それは…。
あっ、でもタイトルがそうか…。
「小津の映画って、そのほとんどが家族の関係を描いたもの。
父と娘とか、母と娘とかね。
でも、それをそのまま焼き直しても
あまり意味がない。
そこで、ここでは血のつながらない姉弟の中で、
その“想い”を見つめている」

----それだけ?
そんな映画だったら、いくつもあるよ。
「もちろん。
でも、それは美優に扮する榮倉奈々の演技を見ればわかる。
彼女の『きみぃ~』という古めかしい中年男の言葉遣い、
そして相手の目を見つめるときの目の輝き具合。
これらは、ぼくは笠置衆を女性で演じさせようという
大胆な試みに見えてしょうがなかった。
もちろん、それを捉えるキャメラはローアングル。
正面からのバストショットで
セリフのあるなしに応じた切り返し。
ぼくはいつの間にか、
昭和のあの時代に戻っていたね」


                    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「ニャんでも音があちこちから聞こえるらしいのニャ」おっ、これは


※まるで一昔前のサーカムサラウンドみたいだった度


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