ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『100万ドルのホームランボール 捕った!盗られた!訴えた!』

2007-05-25 10:54:53 | 新作映画
(原題:Up for Grabs)

----あれっ。これってドキュメンタリーじゃニャい?
珍しいよね、ドラマ以外の話するのって。
「うん。ドキュメンタリーってまったく観ていないってわけじゃないけど、
自分のスタンスが正直、あまり確立されていないんだ。
それでいままであまり話さなかったんだけど、
でも、これは別。
文句なしにオモシロいので紹介したいなと…」

----どういう話ニャの?
「2001年10月7日に、サンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズが、
それまでの年間最多記録を更新する73本目のホームランを放った。
この映画は、そのホームランボールの行方をめぐる狂騒を描いたものなんだ」

----へぇ~っ。それってどれくらいの価値があるの?
「ちなみに98年、
マグワイヤがシーズン70本塁打を記録したときはなんと270万ドル(約3億円)で落札」

----あれっ??それよりこれは3本も多い。
と言うことは71本のときにも騒がれたんじゃニャいの?
「そうなんだよね。おそらく71本目のボールをキャッチした人は
もうこれ以上打たないでくれと祈ったに違いない。
この映画は、そんな彼らも含めて
ついに最後の73本目のボールの行方を描き出す。
この2001年と言うのはアメリカでITバブルが弾け、
その代わりと言う感じで
人々は一攫千金を求めて連日、球場へ押し掛けたわけだ。
9.11があったばかりと言うのに、
彼らにはそれは遠い出来事であるかのよう。
そんな中、この“事件”は起こった」

----ゴクッ。“事件”って?
「最初にホームランボールをキャッチした男アレックス・ポポフに
多くの人々がのしかかっていったんだね。
ボールの行方は杳として見つからない。
そんな中、一人の東洋人パトリック・ハヤシが
にこっとボールを手にカメラに差し出す。
係員がハヤシをガードして事務室へ。
そこへ自分はボールを奪い取られたと主張する男アレックス・ポポフが出現。
偶然にその映像を捕えたカメラは
確かに最初にポポフがボールをキャッチした瞬間を写している」

----それは、ハヤシに分が悪いね。
「う~ん。果たしてそうだろうか?
所有権には占有権が伴うからね。
彼が主張するように手から奪い取ったのか、
それとも転がっていたのを拾ったのか?
ポポフは訴訟を起こすわけだけど、
裁判所もこの壁に突き当たる。
と、そういう法律的なことはおいといても
その周囲の証言とことの成り行きを見ているだけで、
けっこうオモシロい。
最初はハヤシ悪し(駄洒落じゃないよ)と見えたんだけど、
ポポフの行動にも疑惑が…。
しかも証言者たちがもとより喋ることを得意としている
マスコミ関係者が多いものだから、
とにかくにぎやか」

----結末はもちろん言えないよね。
「それはそうだよ。しかもいくつものオチがあるし…」
----そう言われるとよけいに気にニャるなあ(笑)。
「まあまあ。観てみてよ。
とにかく笑える映画だから。
その一つには、当事者ふたりのキャラクターがあるだろうね。
ボールを奪い返そうと、
アグレッシブにメディアに出ては自己アピールを続けるポポフ。
一方のハヤシは
その東洋人特有の自信なさげな表情が
巻き込まれて困惑していると言う感じがよく出てる。
しかし、それさえも最初は“ずる賢い小さな東洋人”の仕草と見えてしまう。
アメリカにおける東洋人の微妙なポジションが窺え、
日本人としてはこちらも興味深かったね」


    (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「観たニャ。驚いたニャ」ぱっちり

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