ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『石の微笑』

2007-05-23 20:58:27 | 新作映画
(原題:Le demoiselle d'honneur / The Bridesmaid)

---クロード・シャブロルって、
もうけっこうな年なのに精力的だね?
「うん。プレスにも
“ヌーヴェル・ヴァーグ現役最後の巨匠”という
紹介がされていた。
カイエ派最初の35mm長編作品が
シャブロルの『美しきセルジュ』と言われていることを思えば、
これはなかなか感慨深いな。
『フランス映画の墓掘り人』とまで言われたトリュフォーはもう亡くなったし、
ゴダールはそれこそ遠いところまできてしまった」

----で、この映画はどういう作品なの?
「95年の『沈黙の女/ロウフィールド館の惨劇』と同じく
ルース・レンデルの小説を翻案。
一言で言えば、愛欲のサスペンス・ミステリーだね。
妹の結婚式で、主人公フィリップ(ブノワ・マジメル)は
花嫁付添い人の一人、センタ(ローラ・スメット)と出会う。
式の終わった夕刻、
雨に濡れた身体でフィリップの家を訪れるセンタ。
そこであっという間に燃え上がる二人。
だが愛が深まるにつれて、
センタは内なる異常性をむき出しにしてくる。
彼女はフィリップに自分を愛しているなら
次の4つのことをして証明してくれと言うんだ。
その内容と言うのが、
1.木を植えて
2.詩を書いて
3.同性の人と寝る
4.誰でもいいから人を殺して
かくして物語は愛と官能をベースに、
殺人事件まで絡むサスペンス・ミステリーへと発展してゆく」

----mmmmm……(汗)。
「まあ、物語は原作があるから、
その中身を詳しく語ってもしょうがないけど、
こういうファムファタールものと言うか、
悪女に支配される男性と言うのは、
ある意味、ヌーヴェル・ヴァーグっぽい話だよね。
トリュフォーにしろゴダールにしろ、
それに近いモノを描いてきたし…」

----う~ん。
物語じゃないとすれば
この映画の見どころは、
やっぱり映像?
「うん。たとえば先ほどのセンタが現れるシーンの匂い立つ官能性。
ここはこの映画の白眉だと思うね。
それと冒頭の長回し。
その先に現れた映像は、
主人公たちが観ているテレビの中の映像と重なり合ってくる。
かなり意味ありげに描かれるこのシーン、
しかし本編が始まると
いつしか置き去りにされてしまう。
でもそれが最後に生きてくるんだね。
まあ、これは脚本の巧さもあるんだろうけど…。
後は俳優だね。
あまり日本人受けはしそうにないけど、
ローラ・スメットには注目だ。
彼女の父親はジョニー・アリデー。
そして母親はなんとナタリー・バイ。
トリュフォー、ゴダールのファンなら
これは決して忘れられない名前。
そのナタリー・バイの娘が胸を見せて
しかもラブシーンを演じているんだから、
ある意味複雑」

----シャブロルでもそんなに激しく写しちゃうわけ?
「いやいや。
そのベッドシーンにしても
ときにはフレームアウトするなど、
ワンパターンにならないように趣向を凝らしていた。
むしろ注目したいのはキスシーン。
ベッドシーンよりも遥かに多い。
これもある意味、いまの“見せすぎる”映画に対する
シャブロルの異議申し立てなのかもね」


     (byえいwithフォーン)

フォーンの一言「なんて女ニャ、めっ」小首ニャ


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