ラムの大通り

愛猫フォーンを相手に映画のお話。
主に劇場公開前の新作映画についておしゃべりしています。

『キャロルの初恋」(byえいwithフォーン)

2004-10-27 22:39:35 | 新作映画
「これはちょっと複雑な気分にさせる映画。
主人公のキャロルはアメリカ人の父とスペイン人の母を持つ少女。
時代は1938年。アメリカ人の父親は義勇兵に志願し、
国際旅団のパイロットとして戦っている。
これはその内乱下のスペインで過ごした少女キャロルのお話なんだ。
キャロルは男勝りというか、
父の気性を受け継いでいて、祖父言うところの強情な性格。
で、最初は地元の男の子とケンカしてるんだけど、
やがてほのかな恋が互いに芽生えてくる」。

------そんなにおかしくないじゃない。
「うん、それはそうなんだけど、
たまたま今日イラクで人質の問題が起こったこともあり、
そのことと重ねて観てしまったんだね。
もちろん、こちらは個人単位の参加、
イラクは国単位の参加という違いははあるけども…」。

------わかった。どちらも自分の主義が正しいと思い、
よその国で戦っていることに関しては違いがない。
「そうなんだ、主人公のお父さんはアメリカ人だし、
一般に、あのスペイン内戦では、
反ファシストで戦った義勇兵が称賛されているよね。
もしブッシュやどこかの国の首相もそのつもりだとしたら、どうだろう?
そう考えるとこの映画は複雑な色合いを帯びてくる。
しかもスペインは、イラクから撤兵した。
これはその前の政権の時代に作られてるけど」。

------ううむ。監督がどちらの立場かということだね。
「もちろん、映画は義勇兵側の立場で描いているわけだけど…。
でも、本当言うと、そんなことを省いても
この映画はなかなかよかったよ。
まずヒロインの女の子がいい。
クララ・ラゴ。目線が強い。
その彼女が演じるキャロルが
先ほど言ったように強情なまでに自分を押し曲げない。
それは優柔不断にすべてをやり過ごそうとする祖父の生き方にまで
影響を与えていく。
子供たちは大人をクールに見てるんだ。
よくある、<こんな時代だけど子供たちは…>ではないんだね。
ちゃんと子供のことを分かってる。
同じ視線に立ってる。
あっ、時代の再現、そして風景の捉え方もよかったよ」。