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韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[10] 京城の街、和信百貨店など

2010-06-17 16:18:34 | 韓国ドラマ
 第9話あたりから、京城の中心街のようすがしばしば映し出されます。

 路地の民家の塀には「明治牛乳」、「毎日新聞」、「仁丹」、「三ツ星タイヤ」など日本語の広告が貼られています。
 「内鮮一體の完成(←旭日)」という横断幕の字は右→左の横書きです。
 なかなか細かいところまでよく再現したもんだなーと感心しました。「飲料界のスタア ニッホンヒール ★」のように濁点がついていないミスも見つけてしまいましたが・・・。

 第10話、米屋を買ったテサンは自転車で営業しています。明治町(現・明洞)、本町(現・忠武路) 黄金町(現・乙支路)を走り回っています。(今の韓国人にとって自転車はふつうに乗れる乗り物ではないのですが・・・。)
 テサンは、上記の町名をメイジチョウ、ホンマチ、ファングムジョウと言ってますが、ファングムジョウは違うでしょう。
 なお、鍾路通りは4月16日の記事でふれたように、テサンはチョントン(鍾通.종통)と言ってました。

 京城市街の場面で、市電が走っていたり、和信百貨店の堂々たる建物まであるのには、最初観た時は驚きました。夜の場面では、そのずっと向こうに赤いネオンも見られます。
 その後、5月の佐賀旅行の折に長沢雅春先生から富川(プチョン)に常置してあるセットだということをうかがい、ネット検索したらたしかにいろんな情報がみつかりました。

 <富川ファンタスティックスタジオ>という名称で、このドラマでも少しだけ名前が出てきた京城の顔役・金斗漢(キム・ドゥハン)を主人公とした2002~03年の任期ドラマ「野人時代」のセットとして作られ、以後いくつものドラマや映画でも用いられ、一般にも開放されているんですね。

 たとえば、コネストのサイトには、いろんな写真のほかスタジオ全体の見取り図も載ってます。スタジオへのアクセスや、入場料(大人3000ウォン)等々、詳しく説明されています。

 <がんもどき韓国旅行>というサイトでは、なんと裏方向から撮った写真(!)も載っています。夢「ぶちこわしです」というキャプションがついています。

 和信百貨店は、朝鮮人実業家の朴興植が鍾路十字路、現在の鍾路タワーの場所に1931年開店しました。日本人が多く居住する街としてどんどん発展していった明治町(現・明洞)や本町通り(現・忠武路)には対して、三越をはじめとする当時の5大百貨店中唯一の朝鮮人経営のこの百貨店が朝鮮人の街・鍾路通りにあったのはうなずけます。

 申明直「幻想と絶望 漫文漫画で読み解く日本統治時代の京城」(東洋経済)という本によると、この百貨店は鍾路通りの代表的な商業施設で、1930年代には昇降機(エレベーター)や屋上の食堂ができて都の名物になったが、鍾路通りのそれ以外の商店は以前として貧弱だったそうです。
 なお、さるサイトによると、和信のショップガール(女店員)は、美人が少ないと評判だった(!)そうで、これは朴興植が「美人だと、すぐに結婚相手が現れて仕事が長続きがしない」と判断したからだ、とのことです。

    
    
 【昔の和信百貨店(上)と<富川ファンタスティックスタジオ>の和信百貨店(下)

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