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韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[11] 書堂でも総督府指定教科書が用いられた

2010-06-20 18:28:10 | 韓国ドラマ
 4月9日の記事で、このドラマの第3話あたりで出てくる書堂についてとりあげました。
 その中で、、「「千字文」や、「論語」等をテキストに、基本的に儒学を教えたといってよいでしょう」と記しましたが、先日マーク・ピーティー「20世紀の日本4 植民地」(読売新聞社)を読んでいると、次のような記述がありました。

 (併合以後、民族主義的な私立学校が禁圧の対象になったのに対して「総督府はむしろ、儒学者や、彼らが教育を受けた書堂をはるかに望ましいものと受けとめていた。日本人が儒学の伝統を称揚し、徳による支配、礼に基づいた人間関係、孝を旨とする家族道徳などを強調する時には、日本の伝統と同時に朝鮮の両班層の伝統にも敬意を払っていることを示そうとした。・・・・書堂に対する認可も普通の私立学校よりも寛大であったが、一九二九年以後になると書堂でも、「国語」・朝鮮語・算術等の科目で総督府指定の教科書を使い、天皇への忠誠を説く「修身」の科目を設けることが義務づけられた。」

 つまり、近代以前からの寺子屋のような民間教育機関である書堂にも、教育の統制が及んでいったということですね。

 このマーク・ピーティーの本は、なかなか斬新で、興味深く読めました。読売新聞社が、あえてこのアメリカ人歴史学者に執筆を依頼した意味を、ピーティー氏自身「ひょっとすると日本の帝国主義時代に関する外からの観察者として、日本の帝国主義・植民地主義に関する問題に、別の視点をもたらすことができるのかもしれない」と前書きに記しています。

 さらにこの本の内容に立ち入ると、<植民地近代化論>やら<植民地収奪論>やらの、重要ではあるがしちめんどうくさい論議にからんでこざるをえませんので、ここではスルーしておきます。
 ただ、この本が高い値の古書でしか購入できないのは困ったものだと思います。

 ややこしい論議を回避したついでに、逆に時代をさかのぼって、18世紀の朝鮮の書堂と、19世紀の日本の寺子屋のようすを描いた名画を紹介します。

  
  
    【上:金弘道「檀園風俗図帖」より。下:渡辺崋山「一掃百態図」より。

 書堂の方はドラマ「風の絵師」で日本でも知名度が高まった金弘道(キム・ホンド. 김홍도)(1745~?)の「檀園風俗図帖」25図中の1枚。先生の前で子どもがなぜか泣いてますね。
 寺子屋の方は、渡辺崋山(1793~1841)の「一掃百態図」中の絵です。

 どちらも、子どもたち(と先生)の動きや表情を実によくとらえていて、甲乙つけがたい絵だと思います。
 日本の子どもたちの方が元気がありますね(笑)、・・・というか、学級崩壊状態?
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