書く仕事

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「天使はモップを持って」近藤史恵

2007年04月29日 17時20分13秒 | 読書

8話からなる短編集です。登場人物はほぼ同じ。
表紙と読み始めて数ページの印象とからは、ビジネスマン1年生の梶本大介と、彼の会社が入っているビルの清掃作業員キリコとの面白コンビが大活躍する面白痛快ミステリー、っていうのを想像したんです。
ところが、どっこい、そんな単純なものではない。
深いですよ、この小説は。
しかも、面白さという価値を少しも損ねることなく、女性が社会で生きていくことの難しさや仕事に対する情熱とかを、反面教師役(つまり、イヤな奴、つまり男の同僚や上司)を示すことで、巧みに訴えてくるのです。
男社会の中で、怒り、悩み、苦しむ女性会社員の多くが共感を得ることのできるストーリーだと思います。
もちろん出版社が本格ミステリーだと謳っているのは嘘ではありません。
ただ、ミステリーといっても、意外な犯人とかトリックとかいう仕掛けではなくて、こんな良い人がなぜこんなことをしてしまうのかという謎解きが、「なるほど」と言わせてくれるのです。
8話の短編中、7話は週間小説に年2本程度掲載されたもので、最後の1話だけが書下ろしです。
この最後の「史上最悪のヒーロー」が何と言っても最高です。
大方の男女コンビの例に漏れず、キリコがホームズ役で、大介がワトソン役です。
でも最後の「史上最悪のヒーロー」だけは、キリコが窮地に立たされます。
でも、大介の知恵ならぬ勇気で...
ネタばれにならぬよう、これくらいに、しておきましょう。
続編もあるらしいので、このシリーズ、是非読んでみたいです。
そうそう、この本は、大学図書館の昨年度の人気第2位でした。
第1位は、「嫌われ松子の一生」でした。


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4 コメント

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「天使はモップを持って」近藤史恵 (コイ(小碇暉雄))
2007-04-30 15:56:54
はじめまして、こんにちは
足跡いただきまして、おじゃましました。
大学図書館の人気順位というのがあるんですね。月次なんでしょうか?
coollifeさんのこのブログの背景スケッチは、僕が長年勤めた鎌倉から近い江ノ島のようですね。
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>コイさん (coollife)
2007-04-30 20:37:54
ようこそおいでくださいました。
大学図書館の人気順位は年間ランキングのようです。
つまり2006年のベスト2ということです。

背景の絵は確かに江ノ島です。
コイさんは以前、鎌倉におられたとのことですね。
私は、今の大学に来る前は神奈川県の横須賀に住んでいて、鎌倉の八幡宮や由比ガ浜はおなじみでした。
江ノ島や江ノ島水族館も子供つれて行きました。
懐かしいです。
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Unknown (もりちえ)
2007-05-08 15:06:03
へー。面白そうですね。
未読です!
読書チェックリストに入れておきます
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>もりちえさん (coollife)
2007-05-08 20:26:14
本文では、いろいろと講釈を書いてしまいましたが、理屈ぬきに面白いですよ。
続編も是非読んでみたいです。
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