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至宝のチェリスト没す

2007年04月30日 23時12分34秒 | 音楽
ロシア出身の世界的チェリスト、ムスティスラフ・ロストロポービッチ氏がなくなりました。
享年80歳。
チェロという楽器には、落ち着いた豊かな音色というイメージがあります。
その通りなのですが、実際は、弓を返す時や引き始め等に、「ギシッ」「ガリッ」というノイズが出ます。
これは、どんなに上手な人でもある程度やむを得ないと言われていて、パブロカザルスさんなんか、逆にあのノイズが人間的だ、なんて評価もあるくらいです。
しかし、このロストロポービッチさんの演奏には、そんな人間的な傷はいっさいありません。
磨きぬかれた、宝石のような音色を奏でてくれました。
演奏の表現は自信に満ちており、常に万人の心を打ちます。
一言で言うと、「うまい」です。
「うまさ」に感動させられるほど、「うまい」のです。
以前紹介した、ドボルザークのチェロ協奏曲が白眉だと思いますが、私の一押しはシューベルトの「アルペジオーネソナタ」です。
先ほど申し上げた傷は、室内楽ではとても目立ちますので、ロストロポービッチさんの、傷のない磨き上げられた音色とテクニックはまさにこのような曲にピタリとはまるような気がします。

 つい最近、ロシアの前大統領、エリツィンさんが亡くなったばかりですが、91年8月のソ連クーデター未遂事件では、ロストロポービッチさんは、軍部隊に囲まれたロシア共和国庁舎に、当時のエリツィン大統領らといっしょに立てこもったそうです。
その二人がほぼ同時期に亡くなるというのも何かの縁なのでしょうか?


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4 コメント

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歴史に残る名演奏家 ()
2007-05-01 00:55:11
たしかに彼のチェロは非常に磨きぬかれた音色でしたね。
それでいて、スケールの大きな味わいもありました。
こういう演奏はロストロポーヴィチならではです。
チェロ奏者としてはもちろん、私は指揮者としても好きな演奏がたくさんありました。
まさに20世紀を代表する巨匠だったように思います。
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>悠さん (coollife)
2007-05-01 21:36:22
悠さんのご指摘のとおり、指揮者としての功績もすばらしいものがありますね。
また、音楽以外でも、ソルジェニーチンさんを擁護したり、民主主義を目指した政治的な活動面でも立派な業績を残されていますね。
音楽を通して平和を追求することに一生をささげた音楽家といえると思います。
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ひとつの時代の終はり (仙丈)
2007-05-07 21:42:35
コメントを頂いてゐたにもかかはらず、旅行に行つてまして、申し譯ありませんでした。
ロストロさんは、私の中では「最後の巨匠」といふ氣がしてゐます。
記事にも書いてゐますが、リヒテルやオイストラフと共演した世代なんですよね。
「巨匠の時代」が終はつたといふことかもしれません。

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>仙丈さん (coollife)
2007-05-07 23:21:04
ロストロさんが亡くなって、あの世代の往年の大家がいなくなってしまいましたね。
寂しい限りです。
チェロで次の世代の大家というとヨーヨーマあたりまで若くなってしまうのかな?
バイオリンだとパールマンとかいますね。
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