書く仕事

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ありましたよ.究極の哲学書.

2008年11月23日 00時52分42秒 | 読書
以前から,哲学に興味があって,いろんな本を読んできました.
でも,今ひとつピンとくるものがなかった.
しいていえば,小説「アイの物語」くらいかなあ?

ま,いろいろと本を読む中で,私にしっくり来るのは,仏教系だとは感じていました.
少なくとも,キリスト教やイスラム系ではないとね.

しかし,ついに見つけましたよ.
ついにしっくりくるものが見つかったのです.
私にとっての,究極の哲学書.

笑わば笑え,マンガ本なんですよこれ.
「ブッタとシッタカブッタ」小泉吉宏


しかし,中身は完璧な仏教の教え.
般若心経に近いです.
でも,実にわかりやすい.
多くは,悟りを開いたブッタと一般ピープルのシッタカブッタの問答の形で進められます.
シッタカブッタの独り言も多々.

なお,前後の説明がないとわかりづらいですし,そのまま転記すると著作権侵害にもなりそうなので,文章は原文に少し手を入れて,短くてもわかりやすくしたつもりです.

例えば...

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「どうして?」という疑問は,どうして不幸の時だけなんだろう?
幸福な時は,なぜ「どうしてこんなに幸福なの?」とは思わないのだろう?

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シッタカブッタ:「ブッタ様,人生とは何ですか?」
ブッタ:「魚が,海とは何ですか?と尋ねるかい?」

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「ブッタ様私は不幸です.」
「では,あなたの不幸をここに持って来なさい.そうしたら,私が不幸をなくしてあげよう」(*)

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どんなに有名になろうと,どんなに出世しようと,どんな名作を世に送ろうと,「シアワセ」とは別の問題である.

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子供から気付かされること.
子供は積み木がうまくつめるとうれしい.これは大人も同じ.
しかし大人は積み木が崩れるとがっかりする.
ところが,子供は積み木が壊れても楽しい.キャーキャーいってる.

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普通でいいんだとわかるととても楽になる.すると,不思議に恋も仕事もうまく行きだす.そんなものです.

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悩みはすべて自分の中にあると気づいたときが,自信の第一歩.
自分が,自分の望む自分とは違うと気付くと,大抵の人は失望するけど,同時に小さくても確実な自分に気付いて驚くはず.
つまり,不安定な大きな自分より,小さくても確実な自分を発見しなさい.
そして,ついに,自信ははじめから自分の中にあったということがわかる.

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世界はすべて自分の心の中にある.
世界は自分の心が映し出しているもの.
つまり,幸福も不幸も希望も失望も,喜びも悩みも,すべては自分の心が作り出したもの.

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いかがですか?

私が最もうなったのは,(*)の箇所です.
実はこの文,原文では,「不幸」ではなくて,「不安」と書いているのですが,作者の意図としては「不幸」の方がより深く伝わると思って,私の独断で不幸としました.
つまり,この文は,「不幸」や「不安」は全て心が作り出したものであること,つまり,実体のないもの.そして実体のないものに苦しみ怯えることは,愚かなことだ,ということに気付きなさい,という教えなんです.

私は,この文を読んだとき,うなりました.
確かに!
そして,般若心経の色即是空の概念もこれに近いなあと.

おそらく,人生の悩みの50%はこの本で解決するのではと,思います.

ただ,残りの50%は,まだだめです.

例えば,家族の死とか,ちょっとやそっとでは乗り越えられない悲しみは,この本は助けにはならないかもしれません.

この本で救われるのは,「他人から見たら些細な苦しみだけど,本人には深刻な苦しみ」です.

「他人から見ても深刻な苦しみ」には,まだまだ別の哲学が必要でしょう.

これからは,それを探して行きたいと思います.