風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

「あの坂を登れば…」

2006-01-06 01:35:45 | 


あの坂を登れば、海が見える

中学校(かな?)の教科書に載っていたお話の一節。
海を見てみたい少年は、「あの坂を登れば、海が見える」と信じて山を登る。けれどそこに海はなく、また山があるだけ。いくつも山を越えるうちに、体も疲れ果ててしまった。けれど少年は決して戻ろうとはせず、「あの坂を登れば、海が見える」と信じてまた山を登る、というようなお話だった、、、はず(気が遠くなるほど昔すぎて、記憶が曖昧)。

最近になってもう一度読んでみたくなり、ネットで調べてみた。私と同じで「今でもこの話を時々思い出す」という人は沢山いたけれど、作者等に関する情報は残念ながら皆無。かくいう私も、当時は「なんか良い話だなぁ」という程度で、さほど心動かされはしなかった。当時の私には、色々な意味で教育的すぎるように感じたのだ。
けれどあれから20年近くたった今、人生って確かにそんな感じだよなぁ、と思ってしまったりするのである。
実は海なんてどこにもないのかもしれない。あるいは、そこへ辿りつく前に倒れてしまうかもしれない。けれど一つだけ確かなことは、登ることをやめてしまったら決して海を見ることはない、ということ。
そして人生の幸せって、いつか彼が海を目にするその時と同じくらいに、少年の“今”の中にあるのではないだろうか。「絶対に海を見てみせる」という“希望”を胸に前へと歩いている、その今に。若い彼はそうとは気付いていないけれど。
ちなみにラストも思い出せないのですよ。少年は結局海を見られたのかなぁ。

今思うと、教科書って意外と侮れないんですよね。大好きな谷川俊太郎さんとの出会いも、小学校の教科書でした。


※2015.08.07追記
わかりました。
杉みき子さんの「あの坂を登れば」というお話で、偕成社の「小さな町の風景」(佐藤 忠良・杉 みき子)という本に掲載されているそうです。
インターネットってすごい・・・

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