風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『盛綱陣屋』 @歌舞伎座(3月23日)

2019-04-03 00:21:34 | 歌舞伎




楽直前に、『盛綱陣屋』を幕見してきました。

仁左衛門さんの盛綱を拝見するのは、杮落し以来6年ぶり。
ニザさまの盛綱が素晴らしいのは重々承知していたけれど、あらためて素晴らしすぎて、もはや神々しすぎて、まともな感想を書けないです。。。。。。。。私ごときが安易に言葉にしてはいけないレベル。。。。。。。。。。
仁左衛門さんが盛綱にしか見えなかった。いま目の前で物語が起きているようにしか感じられなかった。
そして前回観たとき(2013年4月)の記事を読み返したら、同じことを書いていた笑。
あらためて、盛綱は仁左衛門さんの”ニン”であるのだなあ、と心の底から感じたのでした。
最初から最後までぜんぶ素晴らしくてどこがいいとか言えないけれど、やっぱり終盤の小四郎(勘太郎)との絡みは泣いたなあ。。。ていうかニザさまも泣いてたよね。。。
これ前回も泣いたところだけど、仁左衛門さんははっきりと小四郎に向けて「高綱の首に相違ない」って言ってあげるんだよね
そしてそれは当然自分の命を引き換えにした言葉なわけで(だから後で切腹しようとする)。でも盛綱は時政を裏切ることに対して逡巡はしても、自分の命のことなど一切考えていない。今回の舞台で強く感じたのは、そんな常に当たり前に命をかけて生きている人間の高潔さ、清廉さ、そして人間的な優しさ。そういったものが仁左衛門さんの盛綱からあまりに自然に感じられて、仁左衛門さんが盛綱そのものにしか見えなくて、それゆえ神々しくさえ感じられてしまったのでありました。
歌舞伎役者ってすごい。。。。。。。。。。。
そしてとても自然に、仁左衛門さんも命をかけているのだな、と感じた。

脇も皆さん素晴らしかった。
秀太郎さんの微妙。盛綱&高綱の母親である厳しさと、孫への情と、その加減がとてもとても素晴らしかった。松嶋屋兄弟はやっぱり最高だ。
雀右衛門さんの篝火も、子への愛情が強く感じられてよかったなあ。
孝太郎さんの早瀬、左團次さんの秀盛、歌六さんの時政、錦之助さんの信楽太郎、猿弥さんの伊吹藤太、皆さん安定感抜群の素晴らしさ。
そして子役二人!
小四郎の勘太郎くん。ひさしぶりに見たら勘三郎さんに似ていて、勘九郎に似てるというのが本来なのだろうけれど、仁左衛門さんとの場面ではやっぱり勘三郎さんを思い出してしまって、ただでさえ涙涙の場面なのに、二重の意味で込み上げてくるものが・・・・・。という裏事情を別にしても、その演技だけで泣いた。お見事!
小三郎の眞秀くん。こちらも盛綱の子らしい品の良さと、華やかさと、落ち着きが感じられてよかった。この子達の将来が楽しみ

私の隣は一人で観に来ていた外国人×2だったのですが、字幕ガイドを読みながらすごく真剣に観てくれていて、最後は大拍手をしていました
いいお芝居は国境を超えるよね。
日本人の若い女の子たちは興奮したように「世の中にこんなに感動するものがあったとは」と話していました。
いいお芝居は世代を超えるよね。

そして先程知ったのですが、6月はニザさまの封印切!!!ずーーーーーっと観てみたいと思っていたニザさまの忠兵衛!!!
嬉しい!!!!
と思うと同時に、友人にも観せてあげたかったな、と強く思ってしまいます。
なにより今回の盛綱を観せてあげたかった。仁左衛門さんの盛綱は私が知る限りで、友人が一番感動していたお芝居でした。杮落しの舞台も何度も観に行っていた。千穐楽の日は花横の最高の席をとっていて、ちょうどその日は盛綱の後に上演された幸四郎さんの弁慶が1100回を数えた日だったので引っ込みの場面では友人もテレビに映っていて。楽しかったなあ。。
それでも、友人の一周忌を迎えた3月に友人が大好きだった仁左衛門さんが盛綱を6年ぶりに演じてくださって、嬉しかったです。
仁左衛門さん、ありがとう。


※4/9追記
「登場人物それぞれには立場というものがあり、そのうえで互いに思い合っています。ですからお客様には“仁左衛門の芝居”ではなく、“そこにいる登場人物”をご覧いただきたいというのが私の願いです。そして、物語を現場で目撃しているような気持ちになってくださったらうれしいですね」
(片岡仁左衛門 The New York Times Style Magazine: Japan, MARCH 12, 2019)

ニザさま~~~~~!現場で目撃しているような気持ちにガッツリなりましたよ~~~~~!!

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