風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『助六曲輪初花桜』 @歌舞伎座(10月24日)

2018-11-29 21:51:27 | 歌舞伎



仁左衛門は江戸一の色男・助六について「ほとんどの立役がやりたい役ではないでしょうか」とやわらかな関西弁で紹介し、「この歳で助六を勤められることもありがたいし、私としても集大成の心構えでね」と言葉に力を込める。

記者から「色男とは?」という質問が飛ぶと「女性に好かれることでしょう。そして男性からも好かれる」と持論を述べ、「自身を色男と思うか」という質問に対しては「恥ずかしいですけれどね、舞台出たらそう思わないとやっていられない」と回答し笑顔を見せる。これを受けた記者が「実際にいい男でいらっしゃいますから」と返すと、仁左衛門は「ありがとうございます」と茶目っ気たっぷりに答え、会見場を和ませた。

そして話題が、生前に親交の深かった十八世勘三郎の追善におよぶと「彼(十八世勘三郎)をしのびながら……」と口にし、少し考えたうえで、「私の中には本当に、まだいるんですよ彼は」と頭をかく。「未だにいないとは思えない。夢で芝居もしますしね。ケンカもするし、飲みにも行く。他愛ないことを言ったりしてね」といたずらっぽく微笑み、「この追善興行を大成功させることが、彼への本当の追善。喜んでくれていると思うんだけれどね」と、机上の公演チラシを指でそっと叩いた。

また、自分は助六を十七世勘三郎から学び、一方、十八世勘三郎からは、助六を「教えてほしい」と乞われていたことを明かす仁左衛門。「彼に『私より東京の人から教わったほうがいいんじゃない?』と言ったら、『兄ちゃん(仁左衛門)に教えてほしいんだ!』と言ってくれて。その実現できなかった思いを、今の(中村)勘九郎くんにつなげたい。勘九郎くんに私の助六をそばで見ていてほしい。そして大和屋(坂東玉三郎)さんの指導もと、(中村)七之助くんを“揚巻役者”にしたい。2人に対する期待ですよね」と語り、落ち着いた口調の中にも、今回の「助六曲輪初花桜」にかける熱い思いを垣間見せた。
ステージナタリー


まず最初に叫ばせてくださいまし。

今月南座でニザさん、『封印切』やってたの!!!!!??????

全然知らなかった。。。。。。。。。。

これだから普段ツイッターも情報収集も全くしないズボラは。。。。。。。。。。。
でも南座の顔見世っていつもは11月末~12月じゃなかったでしたっけ?
どうして今年は11月頭からやってるの?しかも12月とは別演目なんて。
新開場だから?高麗屋三代襲名だから?
ニザさんの忠兵衛は、長い間ず~~~っと観たいと思っていたお役だったんです・・・(ちなみに藤十郎さんのお役で一番好きなのも忠兵衛)。
ああ、お願いですからお江戸にも持ってきてくださいまし!!!!!


と、思いのたけを叫んだところで(叫び足りないけど泣)、先月の歌舞伎座の感想を。
例によって一ヶ月もたってしまったし、今更感想も…とも思うけれど、自分用覚書として(自分の記憶力を全く信用していないので)簡単に書いておきます。前楽の日に行ってきました。

私が『助六』を観るのは、歌舞伎座の杮落しの海老蔵以来五年ぶり。
この日は開演1時間半前で立見、1時間前で札止めでした。杮落しのときほどではないせよ、相変わらず人気演目なのだなあ。
でも、わかる。
今回改めて思ったけれど、『助六』は本当に江戸歌舞伎の傑作ですねえ。
そのおおらかさ、格好よさ、爽快さ、華やかさ、派手さ、荒唐無稽さ、沢山の笑いと優しさと涙まで。歌舞伎の魅力がいっぱいにつまってる。
そして毎度のことながら、この演目に細かいことを言うのは野暮、という気にさせられる。観終わった頃には、そういう気持ちは全く起こらなくなる。
こういう歌舞伎の懐の深さが大好き。
が、覚書なので少し書いておきます。

仁左衛門さんの助六。
私は(十二世)團十郎さんのあの子供のような、でも吉原の女達にモテまくるのがよくわかる助六がとても好きで、海老蔵にもぜひあの路線を目指してほしいと願っている人間なので、仁左衛門さんの助六は好みドンピシャかといわれるとそうではないし、ニンなお役でもないように思われるのだけれど、「十五代目!」「松嶋屋!」に混じる「色男!」という大向こうがこんなにも似合う役者は他にいないなあ、とつくづく思ったのでありました。
「色男」って、「美男」とか「ハンサム」とか「イケメン」とは違う独特な響きがあるじゃないですか。これからの時代にはもう現れない種類の存在のような気がいたします。。
そしていつものことですが、仁左衛門さんが演じるとストーリーがよくわかる。助六のストーリーなんてあってないようなもの、と今まで思っていたので、この演目はこんなにちゃんとしたお話になりうるのか、と非常に新鮮でした。でも一方で、ストーリーなんてあってないようなもの、というところが助六の魅力のようにも思ったり。

脇では、又五郎さんのくわんぺらがとてもよかったなあ。三枚目な雰囲気と適度な貫録と。
そして、玉三郎さんの満江も、息子たちへの温かな愛情と凛とした風情の両方が感じられて、いいなあと思いました。仁左衛門さん、玉三郎さん、勘九郎、七之助が同じ舞台にいるのは、やっぱり素敵な光景
竹三郎さん(遣手お辰)も久しぶりに拝見しましたが、変わらずお元気そうで安心しました。仁左衛門さんと同じ舞台にいらっしゃるお姿を見られるのは嬉しい

彌十郎さん(通人)の七三での言葉(「お二人のご子息は立派に~」)は、ちょうど私のいた幕見席の上手あたりに向かって話しかけておられたので、なんだかすぐ近くに勘三郎さんがいらっしゃるような気がいたしました。近くにいた女性はここで泣いてしまっていた。
さよなら公演では、新しい歌舞伎座でも夢を見させてもらいましょうと仰っていた勘三郎さん。杮落し公演では、團十郎さんのこと、そして勸玄くんの誕生に触れ、歌舞伎の未来に願いを込めていた三津五郎さん。
今回の舞台で勘九郎、七之助とともに、立派に舞台を務めていたみっくん(朝顔仙平)の姿に、三津五郎さんもきっと勘三郎さんと一緒に歌舞伎座の客席にいて、彼らを見守ってくださっているに違いない、と思いました。あるいは舞台上でお二人で息子たちにダメ出ししまくってるかもですけど笑。

勘九郎の白酒売も、ちゃんと仁左衛門さんのお兄さんに見えました。うまいもんだなあ。白酒売は私は菊五郎さんが大好きだけど、こうして次の世代にちゃんと芸が受け継がれていくのを見るのは、嬉しいものですね。ちょっと切なくもあるけれど。七之助の揚巻も、よかったです。

次に『助六』を観られるのはいつかなあ。成田屋の襲名でしょうか。そして私はまた観に行ってしまうだろうなあ。
助六は江戸歌舞伎の傑作だと思うけれど、それを傑作だと感じさせてくれる役者さん達がいてくれることに感謝しつつ。
歌舞伎の未来に幸あれ!!!


片岡仁左衛門、20年ぶりに歌舞伎座で助六「芸術祭十月大歌舞伎」集大成への思いを語る

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