風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

英国ロイヤル・バレエ団 『ロミオとジュリエット』 @東京文化会館(6月17日)

2016-06-18 02:10:08 | バレエ


What’s your favourite role?
I love performing Romeo; MacMillan’s Romeo was my first principal role in a full length ballet!
 
Which is your favourite city?
I always love working in Tokyo; the city is alive and it makes you feel alive.


(Steven McRae @Gramilano

というわけで、今夜は彼のフェイバリットシティーでフェイバリットロールを踊ったスティーヴン・マックレー
前回来日の『白鳥の湖』ではいまひとつ彼の魅力がわからなかったワタクシですが、昨年の世界バレエフェスでのバルコニーのPDD@ロミジュリがとても良かったので、今回の来日公演は迷わずマックレーの日を購入したのでした。
そんな彼の全幕でのロミオ。

やっぱりこのロミオ、好き

はぁ、、、観られて幸せ。。。。。

舞踏会での出会いの場面は、ジュリエットの姿を目にした瞬間から、もう彼には彼女以外が目に入っていないのが伝わってきた。どんなに多くの人がそこにいても、群衆の中で彼の目に映っているのは彼女ただ一人で。そうそう恋ってこうだよね~~~(>_<)キュン この場面、大好き。

バルコニーシーンのマックレーは改めてもうもう 絶 品 でございますね。
全身で表現するジュリエットへの想い。運命の恋の真っ只中にいる歓び。背中に恋の翼が見えた。
あれほどのヘロヘロオケで踊っていながら(東京シティフィルさんは今夜も安定の不安定さ)こんなに心震わせられるとは。。。。
はぁ。。。。。(思い出して幸福のため息)

ジュリエットから結婚のお誘いの手紙を受け取って心浮き立つロミオくん、乳母の周りをクルクルクルクル大サービス。客席でおお…っとどよめきが起きていました。別にここにこんな力いれてくれなくても構わないのですけど、でもやっぱり流石だわ。シェネってあんなに自在にしかも高速で方向変えられるんですねぇ。なんという安定感。

決闘シーンも素晴らしかった。
ギャリ―・エイヴィスのティボルトがワイルドな色気と品もあってすんごい素敵だったので、明るく陰のないマックレーのロミオとのバランスがとてもよく(二人の存在感のバランスも完璧!)、二人とも剣捌きは迫力あって美しいし、動作からはとても饒舌に感情が伝わってくるしで、息をとめて見入ってしまいました。この二人の組み合わせは至福♪
このティボルトはマキューシオを刺してしまって狼狽える様子に本来の人のよさが出ていて、一方マックレーのロミオもマキューシオを殺されて我を忘れた怒りと親友を失った悲しみをすごく自然に表現していたから、そんな彼らの純粋さにこの物語の悲劇性をより感じることができました。
にしてもエイヴィスの壮絶な死にっぷりと眼を見開いたままの死体っぷりの見事さよ

個人的に残念だったのが、ヤーナ・サレンコに代わってジュリエットを踊ったフランチェスカ・ヘイワードが、あまり好みのタイプのダンサーではなかったこと・・・。
意志の強そうなジュリエットの役作りは嫌いではなかったのだけれど、演技が古典ではなく現代劇を見ているように感じられてしまった・・・(ナショナルシアターライブの現代版シェイクスピアを見ているような)。雰囲気が現代の子ぽいのかな。
そして一人で踊っているときはそうでもないのだけれど、二人で踊るときにロミオへの愛が伝わってこず・・・。本当に彼に恋をしているように見えなかった
ロンドンでのレビューは大絶賛ばかりだったのだけどなぁ・・・いくつか新聞を読んだだけですけど。
彼女は、なぜかロミオよりパリス(ヨハネス・ステパネク)といるときの方がしっくりしていたような。力任せにイエスと言わせようとするパリス(このパリスも本当にジュリエットのことが好きなんだな~というのが伝わってきて良かった)と揉み合いになるところ、とても自然だったもの。別にパリスの人間性が嫌いとかじゃないのだけれど(一幕の紹介シーンでは普通に興味津々)、ロミオという人に出会ってしまったからもう他の男性には触れられるのも嫌!という変化の表現もよかったです。
・・・ということは彼女はマックレーと合わないだけか・・?ゴールディングとも合わないという記事も読んだのだが・・(まぁその記事はゴールディングの方に原因があるとしていましたが)。うーむ。
小柄な身体と黒髪はジュリエットのイメージによく合っていて、本当に原作のジュリエットの年齢に見えました。踊りも安定。肝の据わった子なのだろうな。その肝のすわりが演技に透けてみえてしまっていたようにも。
彼女はマキューシオ役のアレクサンダー・キャンベルと共に、来季からのプリンシパルに昇格発表されたばかり。日本人二人(平野さん&高田さん)も昇格し、日本でもニュースになっていましたね^^ 

キャピュレット夫妻(クリストファー・サンダースエリザベス・マクゴリアン)は二人ともゴージャスで風格ある佇まいと真に迫る演技で、これぞキャピュレット夫妻 お二人ともPrincipal Character Artistなんですね(エイヴィスも)。前回の白鳥の時と同じく、ロイヤルの層の厚さを感じました。さすが演劇の国。
ロミオとマキューシオとベンフォーリオ(トリスタン・ダイヤ―)の3人の”ふつーの街の若者がツルんでる感”も楽しかった 娼婦達とも気軽に踊ってるし、乳母のからかい方も手馴れたもん♪ この適度なチャラさ、いいわ~。
そして、やっぱりあちらのバレエ団はロミジュリのもつ不吉で猥雑な雰囲気を見事に作り出しますねぇ。娼婦達の踊る街の雰囲気も、キャピュレットとモンタギューの人間達の陽と陰の重層的な奥行きも、日本のバレエ団にはなかなか出せない空気だわ。シェイクスピアを観た満足感をもらえた!
だからこそ、ヘロヘロじゃないオケであの空気を存分に味わいたかったよ・・・。特に金管は相変わらず。あれなら録音の方がマシって毎回本気で思わされるシティフィルって・・・。それでもツイ情報によると初日よりはマシだったようなので(あれで!?)、先日のハンブルクのときと同じく後半に向けてよくなっていく傾向にはあるようですね、このオケは(^_^;)

権力に抗えず運命の悪戯(恋に落ちることも、その後の展開も)に翻弄され死んでいく若い命はもちろん悲劇ではあるのだけれど、愛する人とともに永遠の死の眠りにつかんとするラストは、ある意味幸せでもあるのだなぁと。でもそんな自覚をもつほどにも二人はまだ大人になっていない。ただひたすら自分が今いる状況の中で必死に生きて、愛して、死んでいった。彼らにそれ以外に道はなかった。そういう疾走感はよく出ていた今夜の二人でした。この感じはまさにロミジュリで、好みでした。

以上、総じて大満足な英国ロイヤルバレエ団の『ロミオとジュリエット』でございました!
ロイヤルの皆さん、ありがと~~~!

おお、もうこんな時間。
それではマックレーのロミオとエイヴィスのティボルトに思いを馳せながら眠りにつくことに致します(組み合わせが変?いえいえ!)



えいびすさんのツイより


NBSツイより。本日のカテコ ヘイワードとマックレー


東京シティフィルツイより。素敵


Steven McRae Sarah Lamb Romeo and Juliet

こちらはラムとのバルコニーのPDD。
ラムちゃんは知的でキュートで演技も素晴らしいけれど、ジュリエットのイメージとは少し違うような・・?理知的なお姉さんに見えるからかな。しかしこの二人の組み合わせは、白鳥の湖のトラウマがなかなか消えてくれなくて困る・・・。
この二人のロミジュリ、映画館でやってたんですね。観たかったなぁ。

Romeo and Juliet rehearsal (The Royal Ballet)

私は観ていない、平野さんのパリス。と、今夜の素晴らしかったキャピュレット公。この方はSenior Ballet Masterでもあるのですね。


An introduction to Romeo and Juliet (The Royal Ballet)



How Kenneth MacMillan turned Romeo and Juliet into a ballet (The Royal Ballet)



Romeo and Juliet sword-fight rehearsal (The Royal Ballet)

Ballet master Christopher Saunders rehearses Edward Watson and Gary Avis in the Death of Tybalt scene from Kenneth MacMillan's Romeo & Juliet, whilst students from The Royal Ballet School look on


※NBSインタビュー:スティーヴン・マックレー

 

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