風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

『未成年』 1

2006-03-10 23:40:10 | テレビ

「それなら君自身は、社会に対して不満はないと言うんだね?」
「誰だって不満はあるさ」
「どんな不満だね?」
「......誰かと比べるのはやめてくれ」
「それは学歴社会に対してかい?現代の偏差値教育に対してなんだね」
「そんな小さい意味じゃない。すべてのことに対して、他人と比べるような世の中が嫌なんだよ。例えばそいつの傷を探して、よってたかって開くようなまねはやめてほしい。そいつは痛みをかばうために周囲に攻撃的になるだろう。例えば彼女に一つの価値観を押し付けないでほしい。彼女は絶望して、ひとりぼっちになろうとするだろう」
「もっと分かりやすく言ってくれ」
「そいつは俺よりえらくねぇし、俺もそいつより偉くはねぇってことさ。東大出たからってえらくねぇ。オリンピック出たからって偉くねぇ。政治家だって別に偉くねぇ。ただそいつはそうなりたかっただけなのさ。努力してもダメなことってのはあるんだ。どうやってもビリにしかなれねぇやつだっている。人間それぞれ細胞ってやつが違うんだしね。人より上に立ちたいための努力なんてちっとも偉くないんじゃねぇのかな。俺たちは車やテレビじゃない。他との性能を嫌でも比べられちまう。そんな視線には、そんな社会にはもううんざりなんだよ」

~野島伸司 『未成年』より


たぶん今までの人生で最も泣いたTVドラマです、これ。
高校生の頃、最終回で。
あの頃は他人と比べられるのが嫌で嫌でたまらなかった。
今の私は「比べたければ比べれば?どうぞご勝手に」と思えるのだけれど(=歳くいました)、当時は頭ではわかっていても、なかなかそんな風には割り切れなかったんですよね。
今よりずっと生き辛かったな。
だから野島さんの言葉にどんなに救われたことか。
録画した最終回を繰り返し観ては、もぉぼろぼろ泣いていました。
この頃の野島作品が一番好きだったかも。
ちなみに上の言葉は本からではなく、ドラマから引用してます。

そういえば先日「今の日本の高校生は悩みも希望もあまりないということがアンケートの結果わかった」というニュースを見ましたが、これ、本当かなぁ。
希望がないというのはわからなくもないけど、今のこの日本で悩みのない高校生なんていないと思うよ。アンケートの結果に出ていないだけだと思うけど。
この結果をそのまま信じちゃうようなアホな大人の方こそ、問題なんじゃないのか?
毎日のように起きてる10代20代による殺人事件やネット自殺を一体なんだと思っているのさ。

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