好みの話で恐縮ですが、一人称小説っていうのはあまり好きではない。この本は、視点が入れ替わるが主体は一人称、でも許そう、面白かった。伏線というよりも種蒔きの方がピンとくる。種の蒔き方がうまい。時々、あれ、そうだっけ、と前のページを探したこと数度。やるね、と感心した。不思議なのは、カーソンとハリーのシリーズ物の第二作を読んでいるような気になるということ。「前の事件」というのが結構きいているので。ところがこれが処女作だというからえらいものだ。カーソンが結構いやったらしく、ハリーにもう少し厚みが欲しいけれど、そこまで望むのは酷でしょう。今後にも期待。☆☆☆☆ほ。