ロン・マクラーティという人は小説・戯曲を書きながら、役者で稼いでいたそうな。『セックス・アンド・ザ・シティ』にも出ているとか。彼の2004年の作家デビューが本作。「ぼく」はメイン州で両親の家から独立し、アクション・フィギュアのSEALサム製造会社で組立てラインを経て製品検査係を務め、体重126キロを越え、ビールが好きな独身男スミソン・アイド、スミシー。両親のフォード・ワゴンが中央分離帯に激突した所から物語は始まった。姉のベサリーは失踪中。アイド家の歴史がベサリーの病の歴史とともに明らかになっていく。突然、「別の声」に支配される姉。突然、橋から飛び降りたり、全て脱ぎ捨てて、ポーズをとり続けたり。スミシーはかつては走る子=ランナーで、やせっぽちだったが、それも過去のこと。お隣にはビア・マルヴィー家があり、そこには四つ下の一人娘ノーマがいた。ノーマはアイド家と親しく、アイド家の両親を父、母と呼ぶ。スミシーをしたっていたが、スミシーはわずらわしさを感じている。ノーマが事故に遭い、車椅子の人となる。スミシーはちゃんと声をかけられない。父の遺品の整理から、ベサリーがロスで亡くなっていたことを知る。かつて乗っていた自転車に乗って、西へ向かう。そんなロード・ムービーである。旅と明らかにされていく過去の事件、その中で、スミシーが体重を減らし、成長を始めていく。☆☆☆☆。