『鼠たちの戦争』のロビンズの作品。舞台は第二次世界大戦末期。アメリカの戦場カメラマンのチャーリ・バンディー、ソ連懲罰部隊の兵士イリヤ・ボリソヴィッチ、スターリン、ルーズベルト、チャーチル、ドイツの女性チェロ奏者ロティ・シャーロック。アメリカ、ソ連、ドイツそれぞれの「現場」、ソ連、アメリカ、イギリスの「政治」の立場。それぞれで時が流れていく。現在形で書かれた文章は、どこか淡々とした印象を与えるが、第二次世界大戦というドラマが次ぎの時代のドラマへとつながっていく世界が執拗に描かれていく。少々重くもあるが、ロビンズならではの読み応えのあるものとなった。☆☆☆☆。