不耕起、不施肥、無農薬の僕の田んぼはいわば、底に穴があちこちに空いた浴槽のようなものだ。
だから水がじゃじゃ漏れである。
もし、底に穴の空いた浴槽に、水をある程度の水位を保たなければならないとしたらどうするだろう。
ちょろちょろと水をかけ流す他はないだろう。或はいったん高水位まで入れて止めて、減ったらまた入れるか。
かけ流すと言っても必要以上に大量の水を入れ続ければ、水位は保ててても、水温が低くなり、苗の育ちを阻害する。
実際の水路から流れてくる水は一定ではない。
大雨になれば、どばーっと来てそれこそ、植えたばかりの苗を、浮いたわらが押しつぶすし、少なければ土が露出し、陸の草が復活してしまう。
そんなこんなでこの二日間は、せき止めている土嚢袋を外したり、少し入れてみたり。
しとしとと一定に降ってくれればいいのに、自然はそうそうこちらの思うようにはいってくれない。
雨で少し休めているが、その分作業はどんどんたまってゆく。
さて、新しく入ってきた小6のAちゃん、二月まで通ってきていたNちゃんの妹さん。
地元の中学は行事が多すぎること、学級崩壊している先輩のクラスがあることなどから私立中を希望している。
初授業で、彼女の今の引っかかっているところ、
「なぜ分数の割り算は、逆数にしてかけ算になるのか」ということだった。
いやぁ久しぶりにこういうことにこだわる子供を見たわ。
はるか昔に院生の頃、N能研でバイト講師をしている頃、やはりこの疑問に時間を割いて説明したことがあったな。
大して予習もしていなかったので、とっさには答えられず満足のゆく説明がその場ではできなかったが、アカデミックな時間がまた持てて楽しかった。来週までに彼女を納得させる説明をきちんと用意しよう。
少子化の時代で、オール2でも高校、大学へ行ける時代になってしまった。
僕は不満だ。
こういう子がまだ残っているならば、もう少し続けてみようか。作業があるからなるべく夕方にね。苦笑
中学の頃、アルバム"Now&Then"を買った。なんてきれいな声だろうと思った。
その名の通り可憐な彼女は、その後全世界に摂食障害と言う病を知らしめて亡くなった。
「不完全なこの世の中に、完璧を求めてしまった私は
気づくまでに多くの時間を無駄にしてしまった・・・・・」
でも、僕らは求めてしまうよね。と言ってあげたかったな。