トランポリンで跳ねている。毎日秘かに跳んでいる。1日3回、毎食後100回ピョンピョン跳ねている。5階建ての集合住宅の1階に住んでいる。下は駐車場だ。今のところだれからも苦情はきていない。
慶應大学の医学部のアンチエイジングに熱心な教授が、自分でも実践し、血糖値の改善に効果があると勧めている。現代人のカロリーオーバーと運動不足は、深刻である。メタボリック症候群、成人病が私自身を筆頭に、まわり知人にひしめている。「食べたら燃やせ」。 食べたら運動してエネルギーを消費すれば問題はない。それがなかなか難しい。家の前の川沿いの道に一日中、運動のために歩く人びとが絶えない。歩いて通るひとは、なぜか、みなさん痩せている。
トランポリンは、行きつけのリサイクルショップで買った。980円だった。日本の健康産業は、次から次へと新製品を世に送り出してくる。『健康ぶら下がり器』『乗馬ロデオ』『油圧足踏み器』 安くはない。リサイクルショップにもどんどん入荷する。ご隠居にはたっぷり選んで決断する時間がある。値段は全て嬉しい二束三文だ。観察するに多くの人は、商品に自分の理想を託し、自分が動くのではなく、健康機器に行動を促しているようである。健康機器は購入者の家で沈黙をたもち、追い出されるか、放って置かれる。そこで年金生活者へ購入のチャンスがめぐってくる。
毎日1万歩歩行、トランポリン100回跳び3回、夕食時だけの炭水化物ダイエットを続けている。効果があるのか、ないのかわからない。ただトランポリンで跳ねてるときの「アア、まだ跳べるんだ」の感動が嬉しい。老いは、まず足腰からおとずれるそうだ。私は、今日もトランポリンで、ポコンポコンと天井めがけて飛び跳ねて、チャランポランと生きている。