団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

なんとなくジメっとしてない

2011年08月12日 | Weblog

 朝、妻を駅まで車で送る。私は何事も素早くこなす。妻はモタモタ傾向である。毎朝私は玄関でドアを開けたまま、妻が出てくるのを待つ。時には、その時間が4,5分かかることもある。私はじっと待つ。玄関は空気がこもりやすいので、空気の入れ替えになると割り切って待っている。

 妻は私が靴を履く時、「ヨッコラショ」と腰をおろして靴ひもを結ぶために買った高さ30センチの台に座り、靴べらで足を靴に押し込んでいた。立ち上がる時、「なんかジメっとしてない」と床を指差し、スットンキョウな声を上げた。短い時間によくこれだけあれこれ騒ぎを起こせると、いつも感心させられる。

 玄関のたたきの壁面に扉があってその中に深夜電力を使う給湯器の電気式ボイラーが収まっている。そこから床に水がにじんだシミのように広がっている。嫌~な予感がした。腰掛け用の台をどける。小さい台だが、これがまた石のように重たい。天気予報で今日は高温注意報が出るだろうと言っていた。台を動かしただけで汗が噴出した。やっとボイラー収納庫の戸が開くようになった。開けた。深夜電力を使って力いっぱい熱湯を溜め込んだのか、もの凄い熱風が体全体にまとわり付いた。更に発汗が促された。熱いボイラーがそこにあっただけで、素人目に故障も異常も見つけられなかった。「電話番号しらべて点検と修理頼んでおく」と妻に告げた。駅から家に戻り、今日の計画を立て直した。結局、午後2時半に点検に来てくれることになった。

 時間正確に修理担当者がやってきた。20代後半の若者だった。30分くらい温水器をあちこち分解して調べてくれた。呼ばれたので書斎から出て行き、玄関で説明を受けた。暑い日に熱いボイラーの点検を狭い玄関脇の納戸の中で仕事をしていたせいで、若者は汗びっしょりになっていた。こんな日に制服もないだろうに。それこそ制服の色が変わり、染みた汗が塩になっていた。汗を拭き拭き説明してくれた。ボイラー上部の配管のパッキンが劣化してそこから水が漏れている。パッキンを換えれば、水漏れは止まる、の説明に安堵した。温水器の交換などということになれば、それこそ何十万円の出費となる。料金の説明をしてくれた。8631円の提示に即同意した。再び仕事にかかり、約90分で修理が終了した。若者は後片付けもきちんとしてくれた。こんな暑い日に彼のハツラツとした働きぶりに、ただ文句を言って暑さにかまけて、ぐだぐだ時間を無為に過す自分を反省した。なまけものの私は、一生懸命働く人をみると嬉しくなる。

それにしても家庭用の温水器でも水漏れがパッキンの劣化で起こる。原子力発電所となれば、仕組みが複雑で配管も入り組んでいる。遅遅として東京電力福島原子力発電所の事故が治まらない。現場で働く関係者の苦労が思われる。今日来てくれた修理の若者のように懸命に働いているのだろう。時間はかかるだろうが、ひとつひとつ原因を点検して突き詰め、ひとつひとつ改善修理してゆくしかない。原発を作るのも保全維持するのも気が遠くなるくらい、忍耐を必要とする。日本全体が作ることだけに熱をあげ、保守点検をおこたってきた気がする。温水器を修理してくれた若者からたくさんのことを教えてもらった。(写真:なんとなくジメっとした床と温水器)

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