団塊的“It's me”

喜寿老(きじゅろう77歳)の道草随筆 月・水・金の週と火・木の週交互に投稿。土日祭日休み

ジャニーズ問題

2023年10月10日 | Weblog

  ジャニーズ問題がニュースになるたびに、私は、自分が性被害に遭いそうになった中学生の時の事を思い出す。同時に塾で教えていた時、家庭教師を依頼されて教えた女子生徒のことを思い出す。彼女は、小学生高学年の時、教師からの性被害に遭い、以後学校へ行かなくなった。すでに大学受験できる年齢になっていた。時の経過が少しずつ彼女を変えた。絵に興味があって、美大で絵を学びたいとの希望を持った。それには、まず大検(大学入学検定試験)を受けなければならない。そこで彼女の弟と妹が通っていた塾で教えていた私に両親が相談に来た。私は、彼女の家庭教師になった。

 最初、彼女は、私に警戒していて中々打ち解けなかった。男性に拒否反応があるようだった。ある日、ひょんなことから私の中学生時代に教師から受けそうになった性被害の事を話した。その後、彼女の態度が変わった。大検の受験勉強も進んだ。彼女は、大検に合格して、見事、美大に入学した。私は、彼女に接していて、彼女の人生を狂わせた、罪深い小学校教師を呪った。この教師は、その後、児童への性加害で逮捕された。数十年の間、この教師の餌食になった児童が多数いたことが判明した。

 今、毎日のようにジャニー喜多川による性被害問題が、ニュースになっている。ジャニーズ事務所が記者会見をした。見ていて聴いていて腹が立った。笑止千万。そもそも今回のジャニーズ問題を最初に取り上げたのは、英国のBBCである。それまで日本のマスコミは、ジャニーズ事務所を聖域として、どのマスコミも踏み込んで報道することは一切なかった。ところが世間にこの事件が知られると、手のひらを返してジャニーズ事務所を敵視するようになった。風見鶏もいいところだ。私見では、記者会見はBBC一社で十分だった。

 妻がチュニジアの日本大使館の医務官だった時、日本の外務省の外務大臣官房総務課要人外国訪問支援室長だった松尾克俊が公金横領で逮捕された。松尾は、約6年間の在任中7億円以上の公金を横領したとされている。(実証されたのは5億円) 競馬馬、マンション、ゴルフ場会員権などに使った。愛人も囲っていた。ある日妻が怒って帰宅した。外務省の職員全員がその階級によって金額を決めて、松尾の横領した額を返済するという通告が来たという。妻は、どうしても腑に落ちなかった。普段は、生え抜きの外務省の職員でないとして、冷遇され、こんな時には、まるで初めから外務省にいた職員のように扱って金額を押し付ける。理不尽この上ない。なにゆえ、一個人が自分の快楽追及に盗んだ金を使っておいて、真面目に働いている他の職員が、尻ぬぐいしなければならにないのと妻は怒っていた。

 この件から、私は、なぜジャニーズ事務所に所属するタレントたちは、事務所が記者会見をする前に、性被害を受けた元同僚タレントたちに義援金という形で、金を集めて見舞金を支払わないのかと疑問に思った。おそらく生き馬の目を抜くような競争の世界で、他人の事に関わっていられないのであろう。所属タレントの年間所得がどのくらい凄い額であるかは、周知の事実である。所属タレント人数は、約300人。年間売り上げ高は、約1000億円。現在被害を申し出ている元所属タレントは、325人いるという。累計所属タレント数を把握するのは困難であろう。性被害を受けた割合は、相当な率である。ジャニー喜多川の卑劣さが隠れた犠牲者、特に現在も事務所に所属しているタレントもいるはずである。犠牲に遭ったか遭わなかったかは、喜多川の好みか、タイミングだけだったであろうと推測する。だれでもが喜多川の餌食になっていても不思議はない。日本という世界で最も性被害に甘い社会であるが、ジャニーズ事務所所属タレントの真摯な行動をまず期待したい。金銭で失われた人生を取り戻すことは不可能である。しかし金銭で謝罪の尺度は測ることも可能である。

 同僚タレントだけでない。マスコミ各社も見舞金を出し合って、性被害撲滅基金を設けでもして、反省の態度を形で表すべきである。海外のメディアに、先を越される体たらくを深く反省するがいい。

 どう生きても、危険が至る所に散らばっている。私も中学生の時、あの音楽教師に犯されていたら、私の人生は、全く違うものになっていたに違いない。


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