散歩中、珍しい所に咲いている彼岸花を見つけた。川沿いコンクリートで作られた古い欄干がある。欄干の下は高さ7mの石垣がほぼ垂直に落ち込んでいる。欄干の高さは、80㎝くらい。40㎝幅の支柱が並ぶ。その上にコンクリート製の手摺が乗っている。支柱と支柱の間は、25㎝くらいの空間がある。その空間に彼岸花が2輪咲いていた。この彼岸花が咲いている場所は、普通植物が育つ場所とは考えられない。なぜなら欄干の根元もコンクリートなのだ。根を張れない。彼岸花には球根がある。球根が収まる地面などない。あるのは、雨で流されてきて積もった数㎝の土砂だけ。それなのに彼岸花は花を咲かせた。それも支柱と支柱の間から花だけ出して。古いコンクリートの灰褐色に苔むした枯れた緑色を背景に、燃える炎のような曼殊沙華色の彼岸花。絵のような光景が私を惹きつけた。
私はラジオをよく聴いている。ニッポン放送の『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか』が好きだ。先日その番組の中で辛坊さんが彼岸花について話した。彼の博識と勉強熱心さには感心しきりである。彼は彼岸花が一斉に咲くのは、おそらく桜のソメイヨシノ種と同じく同一クローンなのではないかとの思うと言っていた。
ラジオは、もっぱらニッポン放送を聴いている。住む集合住宅が建つ場所のせいか、ラジオの受信状態がよくない。英語力維持のために、本当はAFSというアメリカ軍のラジオ放送が聴きたいのだが、受信できない。テレビは日中、NHKのニュース以外、観たい番組がない。放送局を選択できないので、ニッポン放送を多く聴く。良い番組もあるが、この放送局の出演者起用に偏向が著しいので、嫌気がさしている。私がラジオを聴くことができるのは、妻が勤めに出ている日中だけである。ニッポン放送には、声の良い局専属のアナウンサーが多くいるにも関わらず、お笑いタレントなど多く起用して番組の質の低下を自ら起こしている。
彼岸花の多くは、群生している。その様は圧巻だが個々の花としての存在感がない。確かに何千本何万本と一斉に咲く彼岸花には圧倒される。しかし川の土手の欄干の隙間にポツンと咲く彼岸花には、もっと魅せられる。私は、大きな組織で働いた経験がない。いつも一匹狼だった。だから本来群生する彼岸花が、ポツンと他の花から離れて孤高に咲いていたものなら、立ち止まってしまう。
最初週一で放送されていたニッポン放送の番組が急に月曜日から木曜日まで毎日放送されるようになった。週一の時は、それなりに準備も十分にされていたのか、内容も良かった。ところが連続になると内容の劣化がはっきりと出て来る。時間を埋めるためのだらだらとした放送になってつまらなくなる。辛坊治郎さんの『ズーム そこまで言うか』も最初金曜日だけだった。月から木になると、さすがの辛坊治郎さんでも、ボロが出る。ナイツというお笑いコンビも、週一から月から木まで通しで『ナイツのラジオショー』を始めたが、ただの時間つぶし番組になってしまった。この番組変更の反動で、原田龍二さん安東弘樹さん草野満代さんなどが番組を失った。
何か大きな力が、裏で暗躍しているのかもしれない。世間には抗えない大きな力が、うごめいているのを、多々見受けられる。何でも群れると、思わぬ力を生むことがある。私はそういうものに、恐怖を感じる。群生する彼岸花より、ポツンと他から離れて咲く彼岸花に魅かれる。