ぽつりひとり
母校の大学の庭で
待ち時間の隙間に
ぽつりひとり
学生が
お昼時の時間を
行きかう
眼をこすったよ
中学生が通りすぎたかと思った
十数年の時間が
流れ去って
庭の石も苔むし
がじゅまるは
枝を伸ばし
ひげが地面に届いている
母校の庭で
空を見上げ
空と雲が
変わらずにあること
傲慢に叫び
走り回った
小さな痩せ細った
少女を
思った
時間が過ぎていかなければ
気づかないこともあるか
と
ゆっくり階段を下りながら
白い蝶々が
空と地面の間を
飛ぶ姿を見ていた
キャベツ畑が姿を消し
中古車が並ぶ
広場の見える
母校の庭で
ぽつりひとり