春の通りで
雲の上でふわふわと
歩いていたのに
雲の隙間から
ぽとりと
おちて
歩くためには足を踏ん張って
地面を踏みしめなければならない
広い地面には
数々の足跡
さまざまな足の形
大根もごぼうでもかまっていられない
この足の確かな歩みでしか
足跡をたどることはできない
トイレの花子さんが
元気でしたか
最近会わないからどうしたのかなと思っていた
と
相変わらず
長い時間の身づくろい
黒髪を撫でつけ
おしろいを塗りつけている
だけど
みかけとは違う
澄み切った
鏡
花子さんのファッションを見習って
長い髪を
なびかせて
春の街を歩こうか
ぼくは
サンドイッチマン
笑い顔を振りまいて
寂しい心を
埋めては
通りを
練り歩く