ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

蚊帳

2021-02-10 22:15:54 | 日記
                    蚊帳

                 ぎざぎざの風
                 ざんざんの雨
                 のなかで
                 きらりと
                 雨粒が
                 風に吹かれて
                 ななめに地面に落ちていった

                   電話をした
                   なつかしく
                   「お元気ですか
                    送られてきた冊子で名前を見て
                    それで。」

                 溶け込めなくて
                 いづらくて
                 居場所がなくて
                 あのころ
                 なにをしていたのか
                 夏の日差しのアスファルトを
                 あっちあっちと
                 行き場なく

                    「スマホにして
                     ラインでみんなと話しよう
                     みんなに好かれていたからさ
                     うれしいと思うよ」

                 きゅっと
                 恥ずかしくなる

                 蚊帳の外はさびしいけど
                 すーすーして
                 手足が
                 すっと伸びるんだ

                 蚊帳の中では
                 なんだか囲まれて
                 よくしゃべれない

                 ぎざぎざの風が
                 すーっと行き過ぎていった
                 
                     
                 
                    

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