(アフガニスタン・カブールに復活した“バブールの庭” “flickr”より By
munir
http://www.flickr.com/photos/munir/766263064/)
アフガニスタンではタリバン側の攻勢が続いており、1日、ISAFのマキャナン司令官がホワイトハウスでブッシュ大統領と会談して、「一刻も早い増派が必要」と訴えたことが報じられています。
そんなアフガンに関する気になる記事がいくつか。
****タリバンが女性警察幹部を殺害、アフガニスタン*****
アフガニスタンのカンダハルで28日、同市の警察で女性として最高位の幹部マラライ・カカール氏が、出勤のため市内の自宅を出たところをイスラム原理主義組織タリバンの戦闘員に銃撃され死亡した。
アフガニスタンで最も保守的といわれる州の1つで任務に就いていたカカール氏は海外メディアに取り上げられることも多かったが、これまでに幾度となく殺害予告を受けていたという。カカール氏には6人の子どもがいる。
【9月28日 AFP】
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女性の社会進出を認めないタリバンにとっては、女性で、かつ、治安組織のトップという彼女は許すべからざる存在だったのでしょう。
しかし、それだけに彼女の死が惜しまれます。
*****アフガニスタン:警官が米兵に発砲、射殺 東部の警察署******
AP通信によると、アフガニスタンに駐留する国際治安支援部隊(ISAF)を率いる北大西洋条約機構(NATO)当局者は29日、同国東部パクティア州の警察署で米兵がアフガン警察の警官に射殺されたことを明らかにした。
当局者によると、米軍とアフガン警察が28日、反政府武装勢力に属するとみられる容疑者を警察署に連行した際、警察署にいた警官が米兵に対して発砲した。米兵を射殺した警官は別の米兵らに射殺された。
発砲の理由は不明だが、アフガンでは米軍の誤爆による民間人犠牲が頻発しており、警察や軍内部にも反政府武装勢力タリバンなどに共鳴する人々が一部いるとされる。【9月30日 毎日】
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“タリバンなどに共鳴する人々が一部いる”という“一部”がどのくらいなのかが問題ですが、誤爆による民心の離反は戦闘の遂行自体を困難にしつつあります。
米兵の容疑者への対応に、アフガン人の心情を不用意に刺激するような問題はなかったのでしょうか。
アフガンの民心は離反し、パキスタンとは対立し・・・では、いくら世界最強のアメリカ軍といえど立ち往生しかねません。金融恐慌にでもなれば、アフガンどころではなくなるかもしれませんが。
*****タリバンとの和平対話、サウジに仲介要請=アフガン大統領******
アフガニスタンのカルザイ大統領は30日の記者会見で、イスラム原理主義勢力タリバンとの和平対話で、サウジアラビアに仲介を要請していることを明らかにした。ただ、タリバンとの対話はまだ始まっていないという。
カルザイ大統領は2007年9月、タリバンの指導者オマル師との対話の用意があると表明。この日の会見でもオマル師との交渉に改めて意欲を示した。大統領は「同胞や自らの国に対して銃を取った兄弟が国に戻り、平和に向かうことができるよう努力している」と語った。【10月1日 時事】
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アメリカ主導の戦闘に出口が見えず、国民の不満も高まるなかにあって、カルザイ大統領としては和平に活路を求めたいところでしょう。
ただ、オマル師が和平に応じるか・・・どうでしょうか。
かりに交渉ができたとしても、オマル師とカルザイ大統領が共同で統治というのは想像できません。
むしろ、タリバン内にも急進派から穏健派まで温度差があるでしょうから、手を組める勢力と交渉を進めるという方向が現実的のようにも思えます。
*****カブールに16世紀の庭園が復活、5億円かけ修復*****
暑さとほこりに支配されたアフガニスタンの首都カブールに、緑の島が出現した。干ばつと戦争で荒れ果てていたペルシア様式の庭園「バブールの庭」に、数年ぶりに花が咲き始めたのだ。
イスラム教イスマイル派指導者で富豪のアガ・カーン氏の財団「アガ・カーン・トラスト・フォー・カルチャー」が2002年から修復を手掛けてきた。敷地総面積は11ヘクタール以上で、市内最大の公園だ。
芝生や木影では、家族連れや若者たちがピクニックを楽しむ。休日に当たる金曜日には多くの市民が訪れる。ただし、入園料は必要だ。夏季には毎月5-6万人が訪れるという。
この庭園は16世紀初頭、ムガール王朝の創始者バブールが建設した。バブールは1530年にインドで死去したが、遺体はこの庭園にある小さなモスクの後ろに埋葬された。モスクも修復されたが、内戦当時の弾痕が残っている。
財団のアフガニスタン支部責任者のジョリオン・レスリー氏は、悲劇と戦争にほんろうされたこの国で、庭の修復に多額の予算をつぎ込むことに理解を得るのは難しかったと言う。そのため財団は、この事業が雇用を創出することを強調した。
アガ・カーン氏とドイツ政府が出資した総工費約500万ドル(約5億円)のうち、100万ドルは、地元民を中心とした労働者の人件費に充てられた。
守衛の1人は「樹齢300年の木が並んでいた昔とはもちろん違うが、また育つさ」と話した。【10月1日 AFP】
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“悲劇と戦争にほんろうされたこの国で、庭の修復に多額の予算をつぎ込むことに理解を得るのは難しかった”とありますが、私も最初この記事のタイトルを見て、「アフガンで庭園?一体何考えているんだか?」と思ったひとりです。
しかし、人間はストレスに曝され続けてはまともな精神も保てません。
悲劇と戦争が絶えないこの国だからこそ、記事の庭園のような空間も必要なのでしょう。
最後の守衛の言葉が泣かせます。
アフガニスタンという木が、また元気に育ってくれることを祈ります。
祈るだけではなく、日本としてできることを考えなければいけないのでしょう。
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