孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

米中関係  濃密に続く両国協議 進むバイデン・習近平会談の実現に向けての地ならし

2023-10-04 23:21:31 | 国際情勢

(サリバン米大統領補佐官(左)と握手する中国の王毅共産党政治局員兼外相=17日、マルタ(中国外務省のホームページより、共同)【9月17日 共同】)

【相次ぐ米高官訪中 中国も米へ秋波 サリバン・王毅両氏 マルタ島で12時間に及ぶ協議】
互いに対抗姿勢を強めながら安全保障・外交戦略を展開しているアメリカと中国ですが、一方で対話を求める動きも頻繁に行われています。

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米中関係は2月に発覚した中国の偵察気球の米本土飛行を契機に冷却化したが、バイデン政権は6月以降、ブリンケン国務長官、イエレン財務長官、ケリー大統領特使(気候変動問題担当)、レモンド商務長官を相次ぎ訪中させた。

バイデン氏は11月のAPEC開催に合わせ習氏と会談する強い意向を持っている。

習氏自身はインドで今月開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に欠席。経済問題の対処に苦慮しているとみられ、APEC出席の見通しも現時点では不透明だ。

一方で中国の対外的な威圧行為に緩む気配はなく、米高官の派遣にも実質的な成果は乏しく、「対話ありき」の姿勢には野党共和党から批判が上っている。【9月18日 産経】
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当面のイベントとしては、G20では実現しなかったバイデン大統領と習近平国家主席の会談をどのようにセットするかが焦点となっています。

****中国首相「米中は交流を密にすべき」とバイデン氏に訴え****
中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は11日の記者会見で、李強(り・きょう)首相がインドでバイデン米大統領と「短く交流した」と明らかにした。

毛氏によると、李氏はバイデン氏に「中国の発展は米国にとって挑戦ではなくチャンスだ」と述べた上で「中米両国は交流を密にすべきだ」と訴えた。

李氏とバイデン氏は、インドで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会場で会った。毛氏は、李氏が会場で「バイデン氏ら多くの国の指導者と簡単で短い交流を行った」と説明した。

これまで中国はG20サミットにはトップである国家主席が出席し続けてきたが、習近平国家主席は初めて参加を見送った。今回のG20サミットに合わせて習氏とバイデン氏による米中首脳会談の開催が取り沙汰されていた。

11月に米サンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で習氏とバイデン氏による米中首脳会談が実現するかが次の焦点となる。【9月11日 産経】
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アメリカのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)と中国の王毅外相が地中海の島国マルタで9月16日から17日にかけて12時間に及ぶ会談を行ったことも両国サイドから発表されています。

ホワイトハウスと中国外務省の声明によると、双方は「率直で実質的かつ建設的」な話し合いを行ったとのこと。

****米中高官が協議、首脳会談探る マルタで12時間****
バイデン米政権は17日、サリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と王毅共産党政治局員兼外相が16、17日に地中海マルタで会談したと発表した。高官級の意思疎通を深め、11月に米国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせたバイデン大統領と習近平国家主席との会談実現につなげる考えとみられる。

ホワイトハウスの声明は「率直かつ実質的、建設的な議論が行われた」としている。米高官によると、2日間で約12時間に及んだ。

サリバン氏は、台湾周辺で中国軍用機や艦船の動きが活発化していることに懸念を示し、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調。ウクライナに侵略を続けるロシアに中国が軍事支援を行わないようくぎを刺した。

両者は米中間の重要課題に対処するため戦略的な対話チャンネルを維持することで一致。英紙フィナンシャル・タイムズによると、王毅氏は来月にもワシントンを訪問する見通しという。(後略)【9月18日 産経】
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中国からはアメリカとの対話に“秋波を送る”ようにも思える反応も。

****習主席「米中は平和的共存実現を」、元米義勇軍隊員の書簡に返信****
中国の習近平国家主席は第2次世界大戦中に中国を支援した米義勇航空部隊「フライング・タイガース」の退役軍人に対し、中国と米国は平和的共存を実現しなければならないとの考えを示した。国営メディアが19日報じた。

退役軍人2人からの書簡に返信し、中米両国民は旧日本軍との戦いで同じ敵を共有し「深い」友情を築いてきたと述べた。

「中国と米国は将来に向けて世界の平和、安定、発展により重要な責任を負っている」と指摘。「両国は相互尊重、平和的共存、ウィンウィンの協力を実現しなければならない」と強調した。

フライング・タイガースは1941年から42年にかけて日中戦争で蒋介石が率いる中国国民党軍を支援した米国の義勇軍。【9月19日 ロイター】
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****中国副主席「米と共に繁栄」 首脳会談へ具体的行動も要求****
中国の韓正国家副主席は18日、ブリンケン米国務長官とのニューヨークでの会談で「両国は互いに成功し、共に繁栄できる」と強調した。首脳会談を実現するため「具体的な行動を取り、有利な条件をつくり出す」ことを米側に要求した。中国外務省が19日発表した。台湾問題や米主導の対中包囲網を巡り、中国側の対米不信は根強い。

中国外務省によると、韓氏は「中国の発展は米国にとってチャンスだ。利益であり、リスクではない」と主張。同盟・友好国を巻き込んで「デカップリング(経済切り離し)」や「デリスク(リスク回避)」を進めようとするバイデン政権をけん制した。【9月19日 共同】
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「中国の発展は米国にとってチャンスだ」というのは事実です。中国にとってアメリカも同様。両国は現在でも経済的には深く結びついており「デカップリング(経済切り離し)」などできない関係にあります。

対抗する米中両国・・・とは言っても、そうした相互依存関係が存在することがかつてのアメリカ・ソ連の「冷戦」とは全く異なるところです。

単発の高官レベルの会談だけでなく、定期的な会合の枠組み作りも進んでいます。

****米中、経済・金融作業部会を発足 高官レベルの対話ラインに****
米財務省は22日、中国との間で経済・金融作業部会を発足させたと発表した。次官レベルで定期的に会合を開き、米国側はイエレン財務長官、中国側は経済政策を担当する何立峰副首相に結果を報告する。

バイデン政権による先端半導体の対中輸出規制などで米中関係は悪化しており、高官レベルの対話のラインを設置することで対立激化を避ける狙い。

米財務省は「経済・金融政策に関し率直に議論し、マクロ情勢に関して情報交換するための継続的な対話チャンネルを設ける」と説明した。

イエレン氏は7月、北京を訪問して李強首相や何氏ら中国政府高官と会談。「より頻繁に意思疎通を図るようになると確信している」と対話の継続に意欲を示していた。【9月22日 毎日】
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【北朝鮮の越境米兵追放にも中国の働きかけが】
9月27日に、北朝鮮は越境米兵の亡命を認めず追放したことが報じられ、米兵はアメリカの保護下に置かれました。

****北朝鮮、拘束米兵を追放=米国が保護下に****
北朝鮮は、拘束していた米軍のトラビス・キング2等兵の調査を終え、「領内に不法侵入した」として追放した。米政府高官は27日、キング氏を米国の保護下に置いたと明らかにした。

朝鮮中央通信によると、キング氏は北朝鮮の調査に対し、「米軍内での非人間的な虐待と人種差別に対する反感、不平等な米国社会への幻滅」を理由に、北朝鮮側に渡ったと説明した。キング氏は亡命を希望していたとされるが、北朝鮮は認めなかった。

キング氏は7月18日、板門店の共同警備区域(JSA)のツアーに参加していた最中に軍事境界線を越えて北朝鮮側に渡った。韓国に駐留していたが、米韓のメディアによると、韓国で暴行の疑いで拘束された後、米国への移送中に空港から抜け出していた。【9月27日 時事】
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北朝鮮の今回措置の背景には、北朝鮮との国交がないアメリカに代わって、北朝鮮と国交を持ち、平壌に大使館も有するスウェーデンが窓口になったと報じられています。

また、アメリカ政府高官は米兵移送に関して、引き渡し場所となった中国が「建設的な役割」を担ったとしています。

中国は単に引き渡しルートに協力しただけでなく、北朝鮮への働きかけも行ったようです。
北朝鮮の対応は、越境米兵を政治的に利用することなく、不思議なぐらいに淡々としたものでしたが、その背後にそうしたアメリカとの関係改善を念頭に置いた中国の思惑もあったようです。

そうしたこともあって、バイデン・習近平会談に向けて気運が高まっているようです。

****米中、首脳会談実現へ協議に弾み=関係者****
中国の習近平国家主席の訪米およびジョー・バイデン米大統領との首脳会談の実現向けた両国間のハイレベル協議に弾みがついている。

複数の関係者によると、習氏の側近で経済政策トップの何立峰・中国副首相がワシントンを訪問する方向で協議が進められている。実現すれば、バイデン政権発足以来で最も高位の中国当局者の訪米になる。米中首脳会議の準備のため王毅外相が10月にワシントンを訪問する計画も進められている。

北朝鮮は今週、韓国から越境した米兵を国外に追放したが、米当局者によると、背後には中国の働きかけがあった。ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は10日前の王氏との会談で、米兵の越境問題を取り上げていたという。

米中の間で緊張が高まる中、両国は関係の安定化を図っている。両政府の動きを踏まえると、11月にサンフランシスコで開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に習氏が出席する可能性が高まったようだ。

バイデン氏と習氏は直近では昨年11月、インドネシア・バリ島での20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて会談した。

中国政府は米国とその同盟国に対抗しようと、ロシアとの連携を強化している。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は来月北京を訪問し、習氏の推進する広域経済圏構想「一帯一路」の首脳会議に合わせて習氏との会談に臨む予定だ。複数の関係者によれば、一帯一路の会議は10月17、18の両日に開催される。

ワシントンのシンクタンク、ブルッキングス研究所の中国センターのディレクターでオバマ政権時代に国家安全保障会議(NSC)中国部長を務めたライアン・ハス氏は「中国高官によるこうした訪問が実現すれば、首脳級会合の確率は高まり続ける」と話した。

王氏は26日、北京での記者会見で今年のAPEC首脳会議について「対立を招く争いの場ではなく、協調を促す大舞台にするべきだ」とした上で「米国は開催国としての責任を認識し、開放性、公平性、寛容、責任感を示し、円滑な会議運営に向けて環境を整える必要がある」と語っていた。

中国大使館は、米中両政府が「二国間の取り組みとやり取りについて連絡を取り合っている」と述べた。米財務省はコメントを避けた。米国務省のマット・ミラー報道官は27日、米中首脳会談実現の可能性についてのコメントを避けつつ、「首脳同士の対話に代わるものはない」と語った。【9月29日 WSJ】
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【アメリカの超党派訪中議員団も】
その後も「建設的協議」が続いています。

****米中外交官がワシントンで会談、対話維持へ「建設的協議」=米政府***
米国務省は28日、ダニエル・クリテンブリンク国務次官補(東アジア・太平洋担当)と中国の孫衛東外務次官がワシントンで会談し、「率直で綿密かつ建設的な協議」を行ったと発表した。

ここ数カ月、米高官が相次いで訪中し、対話維持に向けた取り組みを続けている。

最近では、ブリンケン国務長官がニューヨークで中国の韓正副主席と会談、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)がマルタで中国の王毅外相と会談した。

国務省は「米中双方は、オープンな連絡手段を維持するための継続的な取り組みの一環として、地域問題に関して率直で綿密かつ建設的な協議を行った」と発表。

クリテンブリンク氏が「台湾海峡の平和と安定を維持することの重要性を再確認した」ほか、ミャンマーや北朝鮮、海洋を含む他の地域問題についても協議が行われたと説明した。【9月29日 ロイター】
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更には、アメリカからの超党派の議員団訪中も。

****中国が歓迎 アメリカ超党派議員団が訪中へ****
中国政府は4日、アメリカの超党派議員団が近く中国を訪問することを認めたうえで「歓迎する」とのコメントを発表しました。

アメリカのブルームバーグ通信は2日、与党・民主党の議会上院トップのシューマー院内総務が来週、超党派議員団を率いて中国を訪問し、習近平国家主席との面会も模索していると伝えていましたが、中国外務省は4日、コメントを発表し「訪問を歓迎する」としました。

コメントでは、「今回の訪問がアメリカ議会の中国に対する客観的な理解を深め、両国の立法機関の対話と交流を促進し、両国関係の発展にプラスとなる要素をもたらすことを望む」としています。

アメリカと中国は対立する一方で、6月のブリンケン国務長官訪中など対話を活発化させつつあり、中国としても今回の訪問歓迎で対話への意欲を示した形です。

米中をめぐっては、来月、アメリカで開かれるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議にあわせて、バイデン大統領と習主席の会談が実現するかが焦点となっていて、今回の議員団の訪中が米中首脳会談の地ならしとなるか注目されます。【10月4日 TBS NEWS DIG】
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このように最近の両国の動きを並べると、随分に親密なようにも思えます。
表向きの「言うべきことを言う」関係も重要ですが、同時に、こうした関係維持に向けた動きも重要です。

日本は処理水をめぐって中国とやりあっていますが、中国側にはそろそろ落としどころを探すような雰囲気も。水面下で日中間での協議・接触が行われている・・・のでしょうか? 米中関係を見れば、日中間でももっと高官レベルの接触があってもいいようにも思えます。
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