これは、古いシーンを集めているお話です。というのもあまりにもジェシカ・ラングに驚いてしまったわけです。あれほどの、演技ができる女優さんが日本にいるだろうか?と、怪訝に思います。
ジェシカ・ラングは、マリリン・モンロー(紳士はお熱いのがお好き)、キム・ノヴァク(ピクニック)、シャーリー・マックレーン(アパートの鍵貸します)などと同じ、一種の白痴美を創出するわけですが、普通の人が、ときどき、ちょっとおかしくなるというところを、微妙にリアルに演じきっていました。比較すると、上記の、三人は甘いです。もう一人名女優として名高いのがメリル・ストリープですが、彼女には癖があります。いつもメリル・ストリープです。だから、私はあんまりすきではありません。
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古い人では、杉村春子です。彼女が樋口一葉原作の映画『大つごもり』に出たときには仰天しました。夫が、外の女に入れあげていて、お金を家庭に入れず、お金がなくて、大晦日に年を越せないおかみさんを演じました。もんくたらたら、愚痴たらたらなんですが、あまりにもリアルで、胸が迫りました。ただし、映画ではなくて、舞台だと、一本調子に感じます。
もし、白痴美を演じるのなら、早世した、太地喜和子さんが適宜だったかもしれませんが、私は、『花ごろも、脱ぐやまつわる紐いろいろ』を見ていて、この主人公は、ある意味で魅力がないので、残念でした。名優として有名ですが、彼女のよさは出ていなかったと思います。
あと、吉田日出子さんなど、上手ですよね。若手では、洞口依子さんも上手です。また、『北の国から』で、ラーメン店の女店員という端役で出ただけですが、抜群の印象を残した、中原早苗さん。同じ番組内で、土地代を請求する、端役でチラッと出た、根岸季え(漢字が不確かですが)さんも上手です。
正統派の主役としては、高橋恵子さん(往年の映画の特集を、銀座シネパトスでやっていました。金曜日の妻たちで、経済的には満たされているものの、それこそ、女としての根源的な迷いに浸る妻を、後援しました。品がよいのが最高)
と、鶴田真由さん(結婚しちゃって、露出が少ないのが残念ですが、上品で、しかも、水も滴る情感があります)と、
菅野美穂(いろいろな名シーンがあるひとだけど、このごろ、きつい性格の主人公をやらされていて、お気の毒です)さん、
中谷美紀(ゼロの焦点では、つまらない役でしたが、ホテル・ビーナスでは、びっくりするほどの、覚悟が決まった演技を見せてくれました。もう、ちょっと、太ってほしい)さんが上手です。
最近急に話題の存在として、テレビの世界に出ててきた、草刈民代さんがいます。私生活では、バレーしか経験がない人だし、最初の映画(shall we dance)では、演技のほうは、上手には思えなかったが、龍馬伝で、これから活躍するらしいですね。もしかすると演技者として、前より、ぐっと、上手になられているのかもしれません。雰囲気がすばらしいです。写真集の出版を含めて、覚悟が決まっていそうです。
あ、そういえば、富士純子、寺島しのぶの母・娘も入れなくてはなりません。 ほかに若手では、宮崎あおいさんとか、蒼井優さんも上手だろうけれど、子供がいるとか、中年であるというところまではまだ、演じきれないでしょう。
市原悦子さんは、家政婦さんのイメージが強くなりすぎている。ここで、舵取りを変えて、色気がある、女性ができるかなあ?
余貴美子(松本清張ドラマでの、悪役がすばらしかった。くだらないドラマもやっているけれど、できる人です)さんとか、淡路恵子(ちょっと現在は、年でもあるが、30年前だったら)さんだったら、この手の複雑な内面を持っている、かつお色気のある女性を演じきれるでしょう? 特に虚実の皮膜の中で、異常であると言うことを、表出して、かつかわいいことが必要です。難しいポジションですが、女優なら、やってみたい脚本だと思います。
思いがけない選択ですが、きき、キリンさんとか、佐藤玉緒ちゃんができるかもしれません。お色気があって、かわいくて、ちょっと、道をはずしている役柄ですから、向いているかもしれない。
忘れていた、最後の大物、松坂慶子さん。だけど、このごろNHK連続ドラマに出ずっぱりで、演技が甘くなっていますよ。研鑽にも励んでくださいね。素質は、上等な方ですから。彼女の演技で忘れられないのは、10代のころ、NHKで、放映した『青い山脈』です。才能があるというか、魅力があるというか、彼女の出ている場面だけ、輝いていました。だが『火宅の人』はさして、どうって言うこともない。『蒲田行進曲』も『篤姫』ないでも、それほど、輝いていないです。脚本の問題もあるが、すこし、甘えていらっしゃるかも。
大竹しのぶさんは、最近評価が高いようですが、私はごめんなさいです。服部監督とのことがあるから。・・・・・別に服部さんと親しくはないが、同時期にキャンパスにいたので、大竹しのぶさんはアウトです。上手だとは思いますが、どうしても生き方が、受け入れられません。
あと、京まちこさん、田中絹代さん、高峰秀子さん、岸恵子さん、有馬稲子さん(この方だけは演技を見たことがない)は、健康な人、複雑ではない人を遣るというイメージがあります。だから、ジェシカ・ラングが遣ったような役はできないと感じます。ご本人たちは、それぞれに、心理的に、複雑な役をなさっているおつもりでしょうが、結果として、出てきたものが健康なのです。
『西鶴一代女』を、遣っている時だって、田中絹代さんは、賢くて、健全な感じです。杉村春子さんとは、違う。同じくらい賢い二人ですが、杉村春子さんの方が、より演技を崩していく覚悟があると、感じがします。
ここで、くくったかたがたは、最初からスターとして扱われてきた人たちなので、で、どうしても、演技が甘くなっていると、私は思います。
あと、ここに名前をあげなかった人があります。それは、私としては、演技がいつも同じで、世間の評価ほど、高く思えないと考えている人たちです。役よりも演技する、女優さん本来の地が見えてしまいます。だから、名前を挙げませんでした。名優として、選ばれていると思いますが、あえて、あげませんでした。
皆様もごひいきの女優さんがおありでしょう。でも、お色気があって、かわいくて、そして、ちょっと狂っているなんていう、役柄を演じられる女優さんは、早々いないです。
では、2010年5月17日書き、送るのは18日 雨宮舜
ジェシカ・ラングは、マリリン・モンロー(紳士はお熱いのがお好き)、キム・ノヴァク(ピクニック)、シャーリー・マックレーン(アパートの鍵貸します)などと同じ、一種の白痴美を創出するわけですが、普通の人が、ときどき、ちょっとおかしくなるというところを、微妙にリアルに演じきっていました。比較すると、上記の、三人は甘いです。もう一人名女優として名高いのがメリル・ストリープですが、彼女には癖があります。いつもメリル・ストリープです。だから、私はあんまりすきではありません。
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古い人では、杉村春子です。彼女が樋口一葉原作の映画『大つごもり』に出たときには仰天しました。夫が、外の女に入れあげていて、お金を家庭に入れず、お金がなくて、大晦日に年を越せないおかみさんを演じました。もんくたらたら、愚痴たらたらなんですが、あまりにもリアルで、胸が迫りました。ただし、映画ではなくて、舞台だと、一本調子に感じます。
もし、白痴美を演じるのなら、早世した、太地喜和子さんが適宜だったかもしれませんが、私は、『花ごろも、脱ぐやまつわる紐いろいろ』を見ていて、この主人公は、ある意味で魅力がないので、残念でした。名優として有名ですが、彼女のよさは出ていなかったと思います。
あと、吉田日出子さんなど、上手ですよね。若手では、洞口依子さんも上手です。また、『北の国から』で、ラーメン店の女店員という端役で出ただけですが、抜群の印象を残した、中原早苗さん。同じ番組内で、土地代を請求する、端役でチラッと出た、根岸季え(漢字が不確かですが)さんも上手です。
正統派の主役としては、高橋恵子さん(往年の映画の特集を、銀座シネパトスでやっていました。金曜日の妻たちで、経済的には満たされているものの、それこそ、女としての根源的な迷いに浸る妻を、後援しました。品がよいのが最高)
と、鶴田真由さん(結婚しちゃって、露出が少ないのが残念ですが、上品で、しかも、水も滴る情感があります)と、
菅野美穂(いろいろな名シーンがあるひとだけど、このごろ、きつい性格の主人公をやらされていて、お気の毒です)さん、
中谷美紀(ゼロの焦点では、つまらない役でしたが、ホテル・ビーナスでは、びっくりするほどの、覚悟が決まった演技を見せてくれました。もう、ちょっと、太ってほしい)さんが上手です。
最近急に話題の存在として、テレビの世界に出ててきた、草刈民代さんがいます。私生活では、バレーしか経験がない人だし、最初の映画(shall we dance)では、演技のほうは、上手には思えなかったが、龍馬伝で、これから活躍するらしいですね。もしかすると演技者として、前より、ぐっと、上手になられているのかもしれません。雰囲気がすばらしいです。写真集の出版を含めて、覚悟が決まっていそうです。
あ、そういえば、富士純子、寺島しのぶの母・娘も入れなくてはなりません。 ほかに若手では、宮崎あおいさんとか、蒼井優さんも上手だろうけれど、子供がいるとか、中年であるというところまではまだ、演じきれないでしょう。
市原悦子さんは、家政婦さんのイメージが強くなりすぎている。ここで、舵取りを変えて、色気がある、女性ができるかなあ?
余貴美子(松本清張ドラマでの、悪役がすばらしかった。くだらないドラマもやっているけれど、できる人です)さんとか、淡路恵子(ちょっと現在は、年でもあるが、30年前だったら)さんだったら、この手の複雑な内面を持っている、かつお色気のある女性を演じきれるでしょう? 特に虚実の皮膜の中で、異常であると言うことを、表出して、かつかわいいことが必要です。難しいポジションですが、女優なら、やってみたい脚本だと思います。
思いがけない選択ですが、きき、キリンさんとか、佐藤玉緒ちゃんができるかもしれません。お色気があって、かわいくて、ちょっと、道をはずしている役柄ですから、向いているかもしれない。
忘れていた、最後の大物、松坂慶子さん。だけど、このごろNHK連続ドラマに出ずっぱりで、演技が甘くなっていますよ。研鑽にも励んでくださいね。素質は、上等な方ですから。彼女の演技で忘れられないのは、10代のころ、NHKで、放映した『青い山脈』です。才能があるというか、魅力があるというか、彼女の出ている場面だけ、輝いていました。だが『火宅の人』はさして、どうって言うこともない。『蒲田行進曲』も『篤姫』ないでも、それほど、輝いていないです。脚本の問題もあるが、すこし、甘えていらっしゃるかも。
大竹しのぶさんは、最近評価が高いようですが、私はごめんなさいです。服部監督とのことがあるから。・・・・・別に服部さんと親しくはないが、同時期にキャンパスにいたので、大竹しのぶさんはアウトです。上手だとは思いますが、どうしても生き方が、受け入れられません。
あと、京まちこさん、田中絹代さん、高峰秀子さん、岸恵子さん、有馬稲子さん(この方だけは演技を見たことがない)は、健康な人、複雑ではない人を遣るというイメージがあります。だから、ジェシカ・ラングが遣ったような役はできないと感じます。ご本人たちは、それぞれに、心理的に、複雑な役をなさっているおつもりでしょうが、結果として、出てきたものが健康なのです。
『西鶴一代女』を、遣っている時だって、田中絹代さんは、賢くて、健全な感じです。杉村春子さんとは、違う。同じくらい賢い二人ですが、杉村春子さんの方が、より演技を崩していく覚悟があると、感じがします。
ここで、くくったかたがたは、最初からスターとして扱われてきた人たちなので、で、どうしても、演技が甘くなっていると、私は思います。
あと、ここに名前をあげなかった人があります。それは、私としては、演技がいつも同じで、世間の評価ほど、高く思えないと考えている人たちです。役よりも演技する、女優さん本来の地が見えてしまいます。だから、名前を挙げませんでした。名優として、選ばれていると思いますが、あえて、あげませんでした。
皆様もごひいきの女優さんがおありでしょう。でも、お色気があって、かわいくて、そして、ちょっと狂っているなんていう、役柄を演じられる女優さんは、早々いないです。
では、2010年5月17日書き、送るのは18日 雨宮舜