銀座のうぐいすから

幸せに暮らす為には、何をどうしたら良い?を追求するのがここの目的です。それも具体的な事実を通じ下世話な言葉を使って表し、

ダビンチ・コード(娯楽系)と、イカと鯨(文芸系)

2010-05-12 02:34:58 | Weblog
 昨日、録画しておいた、ダヴィンチ・コードを見ました。話題の映画をずいぶん遅くです。その結果、みなさまに、ブルースカイと言う映画をお勧めしたくなりました。おせっかいですが、大変面白く、しかも、重いメッセージを発している映画です。これは同じタイトルで、日本映画があるみたいですが、それではなくて、1990年撮影、公開は、1994年というアメリカ映画の方です。そしてレンタルDVDが手に入るかどうかも分かりません。だからこそ、お勧めしたいのです。もし、見つかったら、すぐさま借りてごらんをいただきたいと。

 ところで、どうして、そちらを思い出したかと言うと、ダヴィンチ・コードが、『これは、高額な制作費をかけてあるだろうけれど、結局のところ、私には、後味として何も残らないなあ』と思う映画だったからです。劇場で見た主人でさえ、「よく覚えていない」と言うほどです。それがエンターテインメントの王道と言うか宿命ですが、・・・・・まあ、映画は原作があるから、原作そのものの罪なのかもしれないが、その原作を選んだのは、スタッフ・キャストですから。

 ここで、丁寧にお断りをしなければならないのは、私が信者(?)だから、内容に異議を唱えているわけではないのです。この映画の中でいわれている『キリストが結婚していた』という説もあるだろうと、思います。そこはまったく問題がないのですが、一個の人間がどう生きるべきかという点で、説得性がないのです。だから、感銘を受けません。

 比較するとアメリカにも、娯楽一辺倒ではない、真の文芸映画、というのもあります。ポールニューマンが提唱して、継続しているサンダンス映画祭。NHKが支援していますね。それから、ロバート・デ・ニーロが提唱して行われるようになったという、トライベッカ映画際などで、好評を得た映画は、だいたい、文芸映画です。

 特に、観客に考えを促すもの。または、何らかの重いメッセージを発しているもの。・・・・・
 この間、『イカと鯨』という映画をテレビで昼間放映していました。、親の離婚を子供がどう受け止めるかという、重い主題のこめられた映画です。だから、ダビンチ・コードとは違って、こちらにものを考えさせる映画です。だけど、面白い映画でもあったのです。

 こども、特に小学生の次男の描写が秀逸で、リアリティがあります。親の離婚で混乱してしまい、しかもどうもその原因がセックスのことにあるらしいと推察したのか、次男は、図書室でさえ自慰を行ってしまいます。その後の液体を、学校の壁になすり付けてしまう描写とか。

 そして、どうしてか、それが見つかって、しかもどうしてか、次男のものだとわかってしまい、仲の悪い両親が学校へ呼び出される場面とかがあって、先生の前で、家庭の内情を告白せざるを得なくなる。ああ、切ないですね。

 そして、長男も無意識(または、自覚の上か?)のうちに、有名な楽曲のメロディをパクった曲を作曲してしまい、それを両親の前で歌うと、二人が大変喜ぶので、その曲が、父と母を、仲直りさせるのに役立つかと思って、高校の文化祭のコンクールで、歌ってしまうのですが、なんと、一等賞を取ってしまい、つかの間のヒーローになるです。が、やがて、盗作がばれて、かえって惨めなこととなる。長男も長男びいきの父親も、大変惨めな思いをする。

 しかし、つかの間のヒーローになった時には、誠実なガールフレンドを捨てるべく、動くのです。しかもそれは、大学教授である父の助言で。そうなるのです。父は自分が母を、人生の初期にすきになって、結婚をしてしまったからそれが失敗に終わりそうな今、息子に『早く、身を固めるのはよくない。いろいろ経験するべきだ』といいます。

 で、せっかく誠実に自分を好きになってくれる、ガールフレンドを、粗末にするように仕向けてしまうのです。その結果、長男が、世間から『盗作者だ』と指弾されて、超・惨めなときには、彼女には、もう、振り返っても、もらえません。それも切ないですね。

 私がこの『イカと鯨』にめろめろになったのは、プラット・インスティテュートというブルックリンにある美大に、一学期ほど通ったときに、その近辺にある高級アパート群の美しさに打たれたのですが、それが、冒頭に出てくるためなのです。その当時『うわ、アッシャー家の崩壊に出てくるような古風な建物だわ』とその美しさに、感動した、ものと、似た形のものが、この映画の最初の2分以内に、映し出されたことからですが、そこには今では、インテリや文化人ががすむといわれているのす。そして、お高くなったので、アーチストは、クイーンズに住むといわれています。

 それなのに、お父さんだけ、その高級地帯から、5つも駅が離れた、低級な地帯に引越しをせざるをえなくなります。お父さんは、誠実でもあり、頭のよいことも極まりないのに、あらゆる意味で、どうしてか、惨めな人なのです。大学教授でもあるのに、妻にも子供たちにも、威信を示しえない。

 だけど、そのお父さんを含めて、一家の、家族像は、こちらに迫ってくるリアリティがあります。

 そして、次男は母親びいきですが、

 母は、父より作家として売れはじめていて、しかも男性{セックスを含む、愛人)が次々できるので、次男としては、苦しいです。切ないこと限りがない。

 そして、映画には、最後まで、安易な解決は示されないのです。クレーマー・クレーマーのように『よかった。よかった』では、終わらない。古典的な映画ではないのです。

 『イカと鯨』というタイトルは、お父さんと、お母さんが、性格が合わないことを示唆しますが、それとともに、博物館にある、大王イカと、鯨の絡んだ、標本(人工物かな?)を見る長男が出てきますので、そちらから取っているかな? そういう展示物が実際にあるのかしら?

 夫婦の会話が、ことごとくかみ合わない場面も出るのですが、そのいちいちに苦笑いしてしまいます。夫婦なんて結構けんかをするものですから。
 それでも、離婚をするかしないかは、女性側の経済力(=能力かな?)と年齢と、関係があります。この映画の場合は、お母さんはまだ、若くてきれいです。ナタリー・ポートマンとか、ジュリア・ロバーツというタイプではないが、女優でないという設定なら、知的で、きれいなほうです。演技者としては、上手な女優さんでした。お父さんも子供たちも上手でしたよ。
 映画のプロット上は、お母さんの、特に現在のセックスフレンドが、次男のテニスのコーチであるとか。????? まさに、まさに、切ない状況です。

 この文章ですが、ここまではっきりと、すべてを語ってしまい、いわゆるネタばれの極地になっているのは、映画の紹介としてはルール違反なのは知っています。でも、どうして、ここまで明らかにするかというと、これは、よい映画だけれど、別に、ぜひごらんをいただきたいとは、思っていないからです。

 ダビンチ・コードに比べれば、まるで知名度の低い、この『イカと、鯨』の方が余韻が深くて、あとあと、まで思い出します。『ミリキタニの猫』もそうです。

 ただ、上の二つは、やや、不完全燃焼の感があります。同じ文芸映画でも、完璧にできている・・・・・だから、ポロッと涙がでたり、大いにはらはらしたり、手に汗を握ったりする映画もあるのです。皆様はごらんになったかなあ? 大成功作と思えるものです。たとえば『パリ、テキサス』

 こちらも離婚を扱った映画ですが、すごい密度と完成度ですよ。そして、ナスターシャ・キンスキーに惚れ惚れ、相手役にも惚れ惚れです。監督はたしか、ヴィム・ヴェンダースだったと思います。

 今調べなおしたら、やはり、カンヌ映画祭で、パルムドール賞を得ていました。
 だから、こちらは詳しい筋など言いません。もし、よかったら、ごらんをいただきたく。
 
 でもね。今は、ブルースカイのほうを先に重要視してくださいと、お願いしたいです。ブルースカイは、何の賞も得ていない、不運な映画です。どうして、ブルースカイが何の賞も、得られなかったかというと、別に映画の出来が悪かったわけではありません。その理由が、私にも簡単に推定できるのですが、それは、舞台が、アメリカ本土内にある軍事基地だからです。また、アメリカ軍の重要な機密・事項、すなわち、核兵器が出てくるからです。・・・・・

 そして、今、グーグルの検索で、何も出てこないということにも大いなる意味があります。と、原文を書いて、たった、一日のうちに、グー映画の情報が表に出てきました。だけど、昨日まで、イカと鯨のほうはたくさん出ていましたが、ブルースカイの方は、まったくなかったのです。私はたどりにたどって、やっと、goo 映画内で、ブルースカイの情報をつかみました。それが、今日は出てきたわけです。もちろん私は、映画そのものを、見ていますが・・・・・それのどこがよかったかについては明日お話をさせてくださいませ。では、2010年5月11日
                                雨宮 舜 
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