名張行く前に、以前に江戸川乱歩生誕地碑を巡礼された方のブログをいくつか参照したのであるが、みなさんだいたい私が前記事で載せたような(写真ポイントもだいたい一緒)昼間の名張をレポ―トしてるものばかりで、夜間レポというのは見かけなかった。
まぁみなさん私みたいにヒマやないからさっさと帰らはるんやろうけど。
そこで昼間、怪人二十面相のパネルの付いた街灯を撮影している時にふと思ったのである。
これは夜暗くなってからだと、また違った名張の貌が浮かび上がってくるのではないかと。
私は夜の名張を徘徊するべく、とりあえず足がヤバいことなっていたので町の中心部にあるじいさんばあさんしかいてないショッピングセンターでメシを食いながら足の回復、そして夜の帳が下りるのを待った。
やはり夜の名張は昼間とは一味違っていた。
古い旧家が多く並ぶ(中には廃屋同然のボロ屋敷も所々に点在していた)忘れ去られ時の止まったこの夜の名張は、乱歩先生が小説の中で描いた大正~昭和初期にかけての猟奇的な犯罪が起こることを予兆させる、あのあやかしの舞台そのものの雰囲気をとどめており、そのただなかをひとり徘徊する気分というのは、あたかも自分が乱歩先生の小説の中の妖しげな犯罪事件に自ら巻き込まれようとする好奇心旺盛な主人公になったかのようでございました。
いや~しかし、これはちょっとしたトワイライト体験でしたぜ。
昭和初期ぐらいに開業して、現在はすでに廃業したと思しきこの古色蒼然たる写真舘は、中でも実にいい雰囲気を醸し出していた。
ここはひょっとして今でも怪人二十面相の秘密のアジトなのではあるまいかとさえ思えてくる。
ここを通る時は、何度も何度も屋根の上を確認しないではいられなかった。
だってこの長屋伝いに今にも屋根の上を飛び跳ねる子供の体に大人の顔をくっつけた醜怪な不具者の姿が現れるのではないかと、気が気でなかったからだ。
実際この人気のない通りの向こうから小っさいオッサンが歩いてくる影が現れた時は、「出たーーっ!!一寸法師だぁーっ!」って、全身戦慄が走ったもんな。
名張地区では建物と建物の間の細い路地空間を『ひやわい』と呼ぶ。
そのひやわいを通って、まさに民家の路地裏に『江戸川乱歩生誕地碑』がひっそりと設けられているのである。
突如壁伝いに猫が現れたので、飛び上がらんばかりにビックリした。
この画像のブレはその動揺のためだ。
いけない。私は名張の夜の人外境のせいで、一種異様な妄想に捕われているのだ。
そして路地に怪しい人影が!!って、俺やんけ。ビビらせんな。
夜の江戸川乱歩生誕地碑広場。
ここには夜になると、地獄の道化師、夜光人間、青銅の魔人、電人M、黄金仮面、人間豹、鉄人Q、盲獣などの類がどこからともなくゾロゾロと集まってくるなんて奇譚がありそうではないか。
とまぁ、このように、同じ巡礼地を昼と夜と二回に分けてわざわざレポートするなんてのは、おそらく私が初めてであろう。
せっかく写真撮ったんで載せたかったってのもある。
でも、これからこの地を訪れようと思う乱歩ファンの方には、是非夜の名張を体感することをオススメしておきます。
さすれば、天井の節穴から毒を垂らして殺人に及んだ屋根裏の散歩者、内壁全面が鏡で覆われた球体の中に入って発狂した男、椅子の中に身を投じて奥さまのふくよかな体の感触を密かに味わっていた変態椅子職人などの犯罪的な心情心理がふつふつと感じとれるやもしれません。
それと、『二銭銅貨煎餅』。
この乱歩の処女作品名を拝借したシャレの利いたゴジョウダンのような煎餅は、山本松寿堂という由緒正しき和菓子屋で売られております。
(煎餅には小さな紙片が添えられていますが、「南無阿弥陀仏」の謎めいた暗号文は記されておりませんのであしからず。)
前ログ(『路地裏の散歩者』昼編)に掲載した名張の中心部の写真で、鳥居門の左横の紫ののれんがかかっている店が山本松寿堂さんです。
今日の1曲:『夜歩く』/ 筋肉少女帯
まぁみなさん私みたいにヒマやないからさっさと帰らはるんやろうけど。
そこで昼間、怪人二十面相のパネルの付いた街灯を撮影している時にふと思ったのである。
これは夜暗くなってからだと、また違った名張の貌が浮かび上がってくるのではないかと。
私は夜の名張を徘徊するべく、とりあえず足がヤバいことなっていたので町の中心部にあるじいさんばあさんしかいてないショッピングセンターでメシを食いながら足の回復、そして夜の帳が下りるのを待った。
やはり夜の名張は昼間とは一味違っていた。
古い旧家が多く並ぶ(中には廃屋同然のボロ屋敷も所々に点在していた)忘れ去られ時の止まったこの夜の名張は、乱歩先生が小説の中で描いた大正~昭和初期にかけての猟奇的な犯罪が起こることを予兆させる、あのあやかしの舞台そのものの雰囲気をとどめており、そのただなかをひとり徘徊する気分というのは、あたかも自分が乱歩先生の小説の中の妖しげな犯罪事件に自ら巻き込まれようとする好奇心旺盛な主人公になったかのようでございました。
いや~しかし、これはちょっとしたトワイライト体験でしたぜ。
昭和初期ぐらいに開業して、現在はすでに廃業したと思しきこの古色蒼然たる写真舘は、中でも実にいい雰囲気を醸し出していた。
ここはひょっとして今でも怪人二十面相の秘密のアジトなのではあるまいかとさえ思えてくる。
ここを通る時は、何度も何度も屋根の上を確認しないではいられなかった。
だってこの長屋伝いに今にも屋根の上を飛び跳ねる子供の体に大人の顔をくっつけた醜怪な不具者の姿が現れるのではないかと、気が気でなかったからだ。
実際この人気のない通りの向こうから小っさいオッサンが歩いてくる影が現れた時は、「出たーーっ!!一寸法師だぁーっ!」って、全身戦慄が走ったもんな。
名張地区では建物と建物の間の細い路地空間を『ひやわい』と呼ぶ。
そのひやわいを通って、まさに民家の路地裏に『江戸川乱歩生誕地碑』がひっそりと設けられているのである。
突如壁伝いに猫が現れたので、飛び上がらんばかりにビックリした。
この画像のブレはその動揺のためだ。
いけない。私は名張の夜の人外境のせいで、一種異様な妄想に捕われているのだ。
そして路地に怪しい人影が!!って、俺やんけ。ビビらせんな。
夜の江戸川乱歩生誕地碑広場。
ここには夜になると、地獄の道化師、夜光人間、青銅の魔人、電人M、黄金仮面、人間豹、鉄人Q、盲獣などの類がどこからともなくゾロゾロと集まってくるなんて奇譚がありそうではないか。
とまぁ、このように、同じ巡礼地を昼と夜と二回に分けてわざわざレポートするなんてのは、おそらく私が初めてであろう。
せっかく写真撮ったんで載せたかったってのもある。
でも、これからこの地を訪れようと思う乱歩ファンの方には、是非夜の名張を体感することをオススメしておきます。
さすれば、天井の節穴から毒を垂らして殺人に及んだ屋根裏の散歩者、内壁全面が鏡で覆われた球体の中に入って発狂した男、椅子の中に身を投じて奥さまのふくよかな体の感触を密かに味わっていた変態椅子職人などの犯罪的な心情心理がふつふつと感じとれるやもしれません。
それと、『二銭銅貨煎餅』。
この乱歩の処女作品名を拝借したシャレの利いたゴジョウダンのような煎餅は、山本松寿堂という由緒正しき和菓子屋で売られております。
(煎餅には小さな紙片が添えられていますが、「南無阿弥陀仏」の謎めいた暗号文は記されておりませんのであしからず。)
前ログ(『路地裏の散歩者』昼編)に掲載した名張の中心部の写真で、鳥居門の左横の紫ののれんがかかっている店が山本松寿堂さんです。
今日の1曲:『夜歩く』/ 筋肉少女帯