AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

ヒョウタンツギ

2012年05月22日 | 二酸化マンガ
手塚治虫の奇想天外文庫シリーズ『よろめき動物記』を某古書店より入手。おそらく、『フサンの謎の七書』ばりの稀覯書であろう。

本書には、様々な動物をテーマに手塚先生流のナンセンスさで描いた2ページ程の読み切りマンガが全35話収録されている。
馬、熊、タコ、鬼、幽霊・・・・と、これは動物かいな?みたいなものまで多肢に渡っている。
まぁ新聞に載ってるいしいひさいちマンガ程度のもので、正直それほどオモシロイ内容ではないが、本書において注目に値するのが、最終話でなんと「ヒョウタンツギ」が題材になっていること!

手塚作品でここまでヒョウタンツギがフューチャーされてる話って、他にないんじゃないかなぁ(と思ったのだが、『妖蕈譚』という手塚先生の短編小説で、世界がヒョウタンツギに飲み込まれていくさまが不気味に描かれているらしい。小説ってことはマンガじゃないのかな?)。

ヒョウタンツギは、実は手塚治虫先生の妹である手塚美南子さんが幼少の頃に発案したクリーチャーだったりする。


本人によれば、ヒョウタンツギは茸の一種であり、常にガスを口から噴射し、スープに入れて食べると汗が出るほど温まるという。
人にむやみに危害を加えることはないが、たまに人間の顔に乗り移ったりと予測不可能な行動に出る。ヒョウタン状の頭部をそなえ、自らの頭から仔を宿すというおそるべき生態を持ち、繁殖性がすこぶる強くいろんなところに生えているため、たまにヒョウタンツギを踏んずけて足をすべらしたりすることもある。



実体は一種の菌類で、スープに入れて食べると冬の季節料理として珍味この上なしとされているが、生で食べると中毒を起こし死に至るともいわれている。
実際『ブッダ』の主人公のシッダルタは、農家で出されたヒョウタンツギ(仏典では、スーカラマッタヴァであり、キノコ説と豚肉説がある)を食べて食中毒を起こし命をおとしている。



私は常々、このヒョウタンツギをクトゥルー神話体系の万魔殿に加えてはどうかと考えている。
とにかく生態が不条理以外のなにものでもなく、神出鬼没にして奇怪で極めて宇宙的な存在である。


不定形の存在“ヒョウタントゥギア”なるグレート・オールド・ワンを考案してみた。
(右のアイテムは私愛用のヒョウタンツギ耳掻き)
いかがだろうか?

今日の1曲:『愛しのマキシン』/ Donald Fagen
コメント
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