AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

VOIVOD プログレ期~現在編

2006年02月19日 | プログレッシヴ草稿

さてヴォイヴォド特集第二夜は目まぐるしく進化を遂げていったプログレ期、低迷期、そして見事復活を遂げた現在に至るまでを語るとしよう。

レーベル移籍問題、PIGGYの脳腫瘍発覚という困難な時期を経て5thアルバム『NOTHING FACE』を発表。このアルバムはVOIVODがすでにプログレバンドとしての頂点を極めたことを十分に窺わせる緻密に構成された内容だ。
1曲目“THE UNKNOWN KNOWS”のエンディングで挿入されるAWAYによるアコーディオンソロからしてただならぬ雰囲気を醸し出しているし、ピンク・フロイドのカヴァー“天の支配”は原曲の良さを一寸たりとも損なうことなくオリジナルといっていいほど見事VOIVOD色に仕上げている。
ただこのアルバム、良くも悪くも複雑で機械的なリズムセクションの羅列のようなサウンドは聴き手の神経を逆撫でにする程に無機質で表情がない。まさに“NOTHING FACE”というタイトルに相応しい。
B!誌では聴く耳のない者にかなり不当な評価を受けていたが私はこの作品はVOIVODの極限まで突き詰めたプログレ期における究極の形だと思う。筆者はこの作品を是非音質のいいイヤホンをはめ暗室で鑑賞することをオススメする。
そしてRUSHの初期のプロデューサーテリー・ブラウンを迎えての6th『ANGEL RAT』でまたしてもVOIVODは私たちを面食らわせるのである。
まず最初のストレートでロックンロール調に展開する“PANORAMA”のシンプルで且つ痛快さに驚かされる。前作とは打って変わって複雑怪奇なプログレ色が抑えられ、その代わり哀愁や明るさといった表情が曲に表れているのだ。SNAKEは物語を語るように表情豊かに歌っているし、PIGGYは無駄のないシンプルな実にセンスのよいギターワークを奏で、時折心地よい絶妙なトリップ感を挿入してくる。5分未満の曲がほとんどで整合感のある実に美しい作品である。
ラスト曲“NONE OF THE ABOVE”は故PIGGYの命日に聴くに相応しい実に哀愁深い名曲だ(泣きのギターソロはまさに涙モノ!)!!
この時点でベースのブラッキーが脱退、彼はレコーディングのみの参加となった。


そしてこの2作品のいい要素ばかりを抜き取り総括したのが7th『THE OUTER LIMITS』であるといえよう。この作品はキャッチーかつプログレッシブで初心者の方にも調度いいアルバムかもしれない。
昔のSFテレビシリーズ『ジ・アウター・リミッツ』をモチーフにしたコンセプトアルバムであり、AWAYの空想世界と現代科学趣味、ヴァーチャリアリティーが見事に開花した作品である。特に6パートで構成された16分にも及ぶ超大作“JACK LUMINOUS”での実にわかりやすく退屈しない起承転結のしっかりした曲展開はこのアルバムのまさにクライマックス的名曲といえるデキだ。
ちなみにこのAWAYによるジャケットと曲ごとの挿絵には3D加工が施されており、初回特典としてVOIVODオリジナル3Dメガネが挿入されており、それを通して見ると絵が浮き出る仕掛けとなっている。そこまで楽しませてくれるAWAYの意気込みと創意工夫にはホンマ敬意を払わずにはいられない。
ここまでがVOIVODのいわゆる輝かしきプログレ期三部作である。
その後はVOIVODファンにとってあまりにもショッキングな出来事であるヴォーカリストSNAKEの脱退という悲劇が起こるのである。
その後ベース兼ヴォーカルのエリック・フォレストを向かえての二作品『NEGATRON』『PHOBOS』はハッキリいって無視してもいいだろう。SNAKEという個性を失ったVOIVODはもはやVOIVODであってVOIVODではない!!私は『PHOBOS』に至っては購入すらしていない(コレクターとして持っておきたいが)。
長い低迷期を終え2001年再びSNAKEが復帰した時はメチャ嬉しかった。元メタリカのベーシストJASONICの加入というオマケまでついてきたのは少々ビックリであったが・・・
そして新生VOIVODによるまず最初のアルバムその名も『VOIVOD』がリリースされる。そこにはVOIVODらしさを取り戻した音が存在していたが、なんか今までで一番オーソドックスでヘヴィかつストレートな内容である。決して同じようなアルバムを作らない常に変化していくのがVOIVODの特性でもあったが、この内容は正直少々モノ足りなさを感じてしまった。悪くはないのだが、直球すぎてすぐに飽きがきてしまうのだ。“LES CIGARES VOLANTS”のような昔ながらの展開のユニークな曲も存在してはいたが・・・。

そしてその後JASONICという(失礼だが)金主を獲得しVOIVODファンの間でも一度も果たされていなかった来日が密かに期待されていたそんな矢先、PIGGYが結腸癌で帰らぬ人となるというあまりにも残酷な知らせを目の当たりにするのである。
VOIVODはまだ解散したわけではない。だが果たしてPIGGYのような素晴しい曲の書ける代わりのギタリストが現れるのだろうか?いや、PIGGYの代わりなんて恐らく存在しないだろう。これからのVOIVODに期待していいやらなんとも複雑な心境である。
ま、とりあえず今はPIGGYの遺作ともなる4月発売予定の新作を待つとしよう。

とまぁ二夜に渡って長々とVOIVODについて語らせていただいたが、いかがであっただろうか?
自分でも少々ダラダラ書きすぎたと反省しているが言いたことがたくさんありすぎて・・・まぁ自分に文章まとめる能力がないんで仕方がありません。
このブログを読んで少しでもVOIVODに興味を持って下さった方がいたなら幸いです。
コメント
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