貴重な休憩時間はSさんの「速射砲」のごとき「口撃」にあい、あっという間に終了してしまった。Sさんはいつもそうなのであるが、会話を独占してしまう。どうみても「独占禁止法」に抵触するとしか思えないようなテンポとスピードで口から言葉が飛び出してくる。
Sさん以外の3名は、相槌を打つことに終始してしまった。よほど腹に溜まっていたものでもあったのか、投げつけるよう話すのである。
Sさんは「寧々ちゃん」グループの3名のなかでもゴルフのレベルは一番低い。その体型はすっかり崩壊してしまっていて、直線貴重のラインを描いてしまっている。ゴルフのセンスがあるとも思えないが、スクールの出席率は比較的高い。
「では、また来週・・・お疲れさま・・・」
飲み終わった紙コップをゴミ箱に入れて、各自駐車場へ向かった。
私の車は、「寧々ちゃん」のMitoの隣に停めておいた。来たときに黒のMitoを見つけてすばやくその横に車を滑り込ませておいたのである。
昭和の森ゴルフ練習場の駐車場はとても広い。SさんとNさんと分かれて、私は「寧々ちゃん」と並びながら車の置いてある方向へ歩いた。
「この前食事したとき、わたし変なこと言っていませんでしたか。ところどころ記憶が無いんです。結構酔っ払ってたみたい・・・」
「寧々ちゃん」は、そう訊いてきた。私はふといたづら心が芽生えるのを抑えることができなかった。
「えっ・・・憶えていないんですか・・・」少々大げさに驚いたふうに答えた。
「なんですか・・・変なこと言ってました・・・」
「ええ、結構卑猥なことを・・・」
「あっ・・・からかってますね・・・うそばっかり・・・」
「憶えていないんなら、いいんです・・・いや、憶えていないほうがいいかもしれません・・・」
「本当になんか言ったんですか・・・」
「ええ、はっきりと・・・」
「なんて言ったんです・・・」
「私、本当はしたいんです・・・って言いました。」
「絶対、うそ!からかわないでください・・・」
「寧々ちゃん」のゴルフバッグをMitoのトランクに入れてあげて、バタンと閉めた。そしていたずらっぽい笑顔を向けながら「冗談ですよ・・・でも、そう顔に書いてあったような気がしただけです・・・」とつぶやいた。
「まったく・・・」と言いながら「寧々ちゃん」は自分の車に乗り込んだ。私もE350のシートに身を任せた。パワーウィンドウを開けて左手を小さく振った。
「寧々ちゃん」もMitoの窓を下げてちょっと怒ったような視線をよこした。二人の視線は少しの間絡み合った。その感触は少し湿った夜の空気のようにねっとりとしていた。
Sさん以外の3名は、相槌を打つことに終始してしまった。よほど腹に溜まっていたものでもあったのか、投げつけるよう話すのである。
Sさんは「寧々ちゃん」グループの3名のなかでもゴルフのレベルは一番低い。その体型はすっかり崩壊してしまっていて、直線貴重のラインを描いてしまっている。ゴルフのセンスがあるとも思えないが、スクールの出席率は比較的高い。
「では、また来週・・・お疲れさま・・・」
飲み終わった紙コップをゴミ箱に入れて、各自駐車場へ向かった。
私の車は、「寧々ちゃん」のMitoの隣に停めておいた。来たときに黒のMitoを見つけてすばやくその横に車を滑り込ませておいたのである。
昭和の森ゴルフ練習場の駐車場はとても広い。SさんとNさんと分かれて、私は「寧々ちゃん」と並びながら車の置いてある方向へ歩いた。
「この前食事したとき、わたし変なこと言っていませんでしたか。ところどころ記憶が無いんです。結構酔っ払ってたみたい・・・」
「寧々ちゃん」は、そう訊いてきた。私はふといたづら心が芽生えるのを抑えることができなかった。
「えっ・・・憶えていないんですか・・・」少々大げさに驚いたふうに答えた。
「なんですか・・・変なこと言ってました・・・」
「ええ、結構卑猥なことを・・・」
「あっ・・・からかってますね・・・うそばっかり・・・」
「憶えていないんなら、いいんです・・・いや、憶えていないほうがいいかもしれません・・・」
「本当になんか言ったんですか・・・」
「ええ、はっきりと・・・」
「なんて言ったんです・・・」
「私、本当はしたいんです・・・って言いました。」
「絶対、うそ!からかわないでください・・・」
「寧々ちゃん」のゴルフバッグをMitoのトランクに入れてあげて、バタンと閉めた。そしていたずらっぽい笑顔を向けながら「冗談ですよ・・・でも、そう顔に書いてあったような気がしただけです・・・」とつぶやいた。
「まったく・・・」と言いながら「寧々ちゃん」は自分の車に乗り込んだ。私もE350のシートに身を任せた。パワーウィンドウを開けて左手を小さく振った。
「寧々ちゃん」もMitoの窓を下げてちょっと怒ったような視線をよこした。二人の視線は少しの間絡み合った。その感触は少し湿った夜の空気のようにねっとりとしていた。