AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5732:呪縛

2021年11月10日 | ノンジャンル
 山伏峠は上りなれた峠である。距離も斜度も無理のないもので、上りやすいヒルクライムコースである。

 スタートしてすぐに一人のメンバーが速めのペースで前に出ていった。「前半は脚が残っているから230ワットから240ワット程で走ろう・・・」と思いながら小さくなったその背中を追った。

 前半は230ワット程の平均パワーで走っていけた。やがてそれぞれのメンバーは脚力に応じてばらけていく。

 「このまま、230ワット程で走り切れればいいけど・・・」と思いながらコースの中盤を走っていった。

 山伏峠には斜度の厳しい難所が2か所ある。どちらも左に曲がる。最初の難所は短いので難なくやり過ごしたが、次の難所は距離も少しありダンシングで苦し気に走っていった。

 2か所目の難所をやり過ごすとコースは終盤に入る。しかし、脚の余力は一気に削られてしまったので、パワーはじりじりと下がっていき220ワットを維持するのがやっとといったところである。

 山間の道を何度も曲がりながら進んだ。ようやく山伏峠の頂上が見えた。最後はダンシングでペースを少し上げて、その頂を越えた。

 峠の頂上には「山伏峠」と書かれた道標が道の右側に立っている。その道標の前を通り過ぎたところで、サイコンのラップボタンを押した。

 山伏峠を上り切るためにかかった時間は17分17秒であった「17分を切れなかったか・・・」と少し残念に思いながら、正丸方面に向かって下っていった。

 下りながら2度3度とカーブを曲がった。そして正丸峠に向かう上りに向かって右折した。正丸峠へ向かって再度アクセルを踏み込んだ。

 正丸峠への上り返しは1.5kmほどで、斜度は厳しくない。道は結構荒れている。ガタガタとロードバイクは振動する。

 脚の余力は山伏峠のヒルクライムを経過しているので残り少ない。残りの充電量は20%を切ってさらにその数値を下げていった。

 どうにか220ワット程度で走り続けた。筋肉には相当な疲労感があったが、残りが少なくなってきたので、どうにかこうにかクランクを回し続けていた。

 そしてゴール地点が見えた。最後は習慣からラストスパートした。正丸峠の頂上に達した時であった。両足の内太腿の筋肉が同時に攣った。

 どうにかクリートを外して両足を地面に着けたので、立ちごけはしなかった。しかし、その痛みは猛烈で、ハンドルをぎゅっと握りしめながら、体を膠着させた。まったく身動きができなくなった。

 どれくらいその状態で固まっていたのであろうか・・・実際には5分程度であったのかもしれないが、恐ろしく長く感じた。

 時間の経過とともにようやく痛みが引いてきた。恐る恐る両膝を少し曲げてみた。そんなことを何度かしてから、ようやく呪縛状態から抜け出せた。しかし、両足の内太腿には痛みの残骸がしっかりと残った。ロードバイクをゆっくりと押していって「奥村茶屋」のテラス席に移動した。



 「凄い痛みだったな・・・ああなるといかんともしがたい・・・」そんなことを思いながら店の中に入って「秩父コーラ」を1本購入した。

 テラス席に座って「秩父コーラ」を飲んだ。飲みながら先ほどすさまじい痛みを発して攣った太腿を優しくさすった。


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