おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

新しい民主主義

2024-07-13 12:42:17 | 日記
 とんだ茶番劇だった都知事選が終わった。福島に住む僕には選挙権がないから、ただその推移を見ていただけだが、今までの選挙制度がいかに古臭くなっているかを痛感させられる選挙だったのではないだろうか。

 もし投票するとしたら誰にするかなと、投票権もないのに考えていたら、立候補者の中に安野貴博という面白い人がいるのを知った。テレビでは小池さん、蓮舫さん、石丸さん、田母神さんの4人しか画面に映らない。選挙は公平でないといけないと言いながら、56人もいる立候補者の中で4人だけが特別扱いのように見える。これではテレビや新聞でしか情報を得ることが少ない高齢者には選択肢が少なすぎるのである。

 で、安野貴博さんがどういう人かまったく知らなかったのだが、台湾の天才IT大臣と言われたオードリー・タン氏が安野さんを支持しているということを知ったのが、興味を持つきっかけだった。オードリー・タン氏と言えば、新型コロナで大騒ぎしていた世界の中で、いち早くコロナ対策のアプリを開発し、台湾の感染を抑えた天才である。日本でも遅ればせながらとコロナ対策のアプリ、ココアを開発したが、まったく役に立たず、巨額の開発費が無駄になったのと対照的だった。

 安野さんもエンジニアであり、政治経験はないものの、学生の時から次々に新しいアプリを作っていた。今回の都知事選では、「参加型マニュフェスト」を作成し、一般の人たちでマニュフェストを作り上げるということをしている。他の候補者がほとんどマニュフェストを作らなかった中、安野さんの参加型マニュフェストは、130ページにもなった。そういうこともあり、テレビで取り上げられることはほとんどなかったにも関わらず、都知事選では5番目の票を得たのである。

 「参加型マニュフェスト」。これはどういうものかというと、僕の理解ではネットの百科事典ウィキペディアみたいなものだろうと想像している。ウィキペディアが、一部の学者が作る百科事典ではなく、誰でもがアクセスできる百科事典上で、それぞれが訂正と追加を繰り返し作り上げていくというものだ。これだと、可能な限りたくさんの人の目が入るので、それだけ間違いや勘違いが少なくなる。専門外の人でも書き込めるので、別の方面からも解説できるのである。

 パソコンのOSも、以前はWindowsかMacしかなかった時代に、LinuxというオープンソースのOSが登場した。これはネット上で公開されたプログラムに誰でも手を入れてより良いものに改良していけるというOSだ。従ってマイクロソフトやアップルのように使うのにお金がかからない無料のOSで、愛好家も多かった。

 民主主義というのは、本来誰でもが平等に参加できる政治制度のはずである。が、最近民主主義の劣化が言われるようになったのは、力のあるもの、富のあるもの、既得権を持っているものなど、一部の人たちにより動いているからである。今のようなまず政治家を選挙で選び、その政治家が政治を行うという制度では、政治家が応援してくれる人たちに恩恵を与えてしまうからである。

 将来はAIの進歩により、デジタル民主主義が今の政治にとって変わらなければならないと言われている。それは一部の人たちの占有物となった政治を、すべての人に平等に参加させるための技術だからである。

 が、今のところはネットを駆使できる人と、ネットはわかりませんという人の間に格差が生じてしまうため、将来的には誰でも簡単にアクセスして利用できる仕組みが必要になる。「デジタル民主主義」が進めば、AIが僕らに対して、さまざまな意見を汲み上げた上で、「こんな政策はいかがでしょうか」と提案してくるようになるだろう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする