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世界、日本、コロナ死者数の「科学」と「政治」   文科系

2023年01月10日 12時19分29秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
岩波の「世界2月号」に標記のことで僕にはちょっと凄いとさえ思われた記事があった。題名は『パンデミックが照らし出す「科学」と「政治」』という神里達博千葉大学大学院国際学術研究院教授(科学史、科学技術社会論)の論文なのだが、どこが凄いかを最初に書いておこう。コロナ・パンデミックの世界的資料を駆使して、死者数算定の難しさ、いい加減さという最大問題に、日本のこの点についても極めて重要なことをごくさりげなく、切り込んでおられる。世界・日本の死者数の算定難、大差という問題に絞って、要約する。

安倍首相も、管首相もコロナで辞めたという側面がある、それぞれ、突然で強権的な休業要請や布マスク全戸配布問題とか、「医療崩壊」下の東京オリンピック開催とかの批判も受けた形で。ところで、コロナで亡くなられた方はどれぐらいなのか。その世界の数字自身に下手をすると3倍の開きがあると紹介される。

一般に日本でも公表されていたジョンズ・ホプキンス大学集計では2022年11月末までに664万人と報告された。ところが死因確定そのものが学問的にさえ意外に難しく、国によっても厳密さなどに大きな差があると示されていく。慢性的病気を抱えがちな高齢者の国は、アフリカなどの若者国よりも、コロナ以上に直接因は慢性病扱いの比重が高まるなどなど。そこで正確なコロナ死者数算出の参考例として、「(例年死者数平均と比べた)コロナ時期の超過死亡数」という世界保健機関(WHO)の数値が示されていく。2020年1月から2021年12月までの全世界「超過死亡数」推計1330万から1660万人、平均1490万人と発表されている。同じ時期の世界各国政府報告集計が550万人であったから、一千万近くが見落とされていた可能性もあると語る。

さてところが、この超過死亡数自身も国の算定基準に差があると示される。その国で過去何年分のデータがあるかとか、死者数算定の数学的モデルがどのようなものを使われたかとか。そこでもう一つ、2022年3月の英国医学誌にワシントン大学チームが掲載した同じ時期の超過死亡推定値が、1710万~1960万人、平均1820万人と紹介されていて、WHO数値より300万人も多いのである。

さて、こういう世界の死者数概念、超過死亡数紹介の中に、日本のこともほんの少し、それもさりげなく触れられている。その大変な下りを転載してみる。

『たとえば、WHOのデータによれば、日本では死者が平年より少なくなる「過少死亡」という現象が起きたとされる。・・・(英国医学誌掲載のワシントン大学チーム推定値)の研究では逆に、11万人の超過死亡が生じたとされている。全く逆の結論とも言えるもので、なんとも不思議な話だ』

 
 この論文紹介最後として、このパンデミックに関わって表題が現している「科学」のほかのもう一方「政治」への言及紹介について。

 このように科学的にも難問と言うべき課題に対して、各部門専門家やAIだけで対処できるわけはないと示される。神里氏によればここで本来登場すべき「専門家」こそ、政治家なのであるが、「重い責任から逃れようとしてきたように見えるのではないか」と追及され、さらにこの論議をこう発展させていく。
「そして重要なのは、それはパンデミックに限った話ではない、という点だ。・・・地球温暖化・・・大地震や噴火・・・遺伝子を操作する様々な技術・・・いずれも、科学と政治の複雑な相互作用と緊張関係の中で、私たちの生活に大きな影響を与える決定がなされ、人々の未来の形が変容していくタイプの問題である」

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