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またまた教育勅語賛美に反論する   文科系

2022年03月24日 09時41分49秒 | 国内政治・経済・社会問題

 中日新聞と東京新聞ネットとに本日こんな記事が載っていた。今国会で初めての参院憲法審査会に関する記事であって、『教育勅語は伝統的な価値観』と見出しされたもの。書き出しはこうなっている。
『 自民党の西田昌司参院議員は23日の参院憲法審査会で、国民道徳の根源や教育の基本理念を明治天皇名で示した戦前の「教育勅語」を「日本人の伝統的な価値観だ」と評価した。
 その上で「日本の文化で一番大事なのは教育勅語に書いてある家族主義、家族と伝統を大事にすることだ」と持論を展開した。』

 自民党議員に同じ事を語る人がとても多く、「そういう改憲方向」もあるのは明らかなこと。ごく普通の常識的批判を加えたい。教育勅語は現憲法の国民主権に違反するものであるから、これを肯定してはいけない、と。

 教育勅語を読んでみると、教育目標として親孝行、兄弟愛、友情から始まって、「学ヲ修メ業ヲ習ヒ」などなどを国民に呼びかけた上で、その末尾はこう結ばれている。
『一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ』
 つまり、この勅語の教育目標はすべて、「皇運ヲ扶翼」というこの最後の一文にかかっていくという文章構成になっている。皇運扶翼のためにすべての教育目標もあるということだ。換言すれば、ここに書かれたすべての教育目標は、それ自身独立して価値あるものとされているわけではないのであって、天皇主権の大日本「帝国」憲法においてその皇運扶翼の手段でしかなかったのである。「醜の御楯」(シコノミタテ)とは戦前の国民なら皆知っていたこと。国民は天皇のために生き、天皇を守るためなら死も辞さずという存在だったのである。

 

 さてここで、こういう日本国家の考え方、国家思想そのものが、自民党国会議員の多くに復興していることを指摘したい。国会議員らの多くが加わっている日本会議のその「呼びかけ文」である「日本会議がめざすもの」にこれが見られる。該当箇所を抜粋してみよう。

『 125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝というべきでしょう。私たち日本人は、皇室を中心に同じ民族としての一体感をいだき国づくりにいそしんできました。
 しかし、戦後のわが国では、こうした美しい伝統を軽視する風潮が長くつづいたため、特に若い世代になればなるほど、その価値が認識されなくなっています。私たちは、皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、「同じ日本人だ」という同胞感を育み、社会の安定を導き、ひいては国の力を大きくする原動力になると信じています』

 こういう日本史認識に基づいた国家再建などは誤りである。現憲法最大の柱、国民主権に反するからだ。国の主人公である国民すべてにこういう国家思想を望むことは、全体主義国家志向という誤りにしかならない。「日本会議がめざすもの」という文章表題が語っているように、日本の国会議員がこういう国家を目指すというそのこと自身が誤りなのである。

 僕は日本国民だが、日本会議が上の文章で言う「同胞感」など持ってはいない。そういう僕が「社会の安定を導き、ひいては国の力を大きくする原動力」ではないと言われれば、「何を言うか! 偉そうに変なものを強制するのか! 」と腹も立つのである。思想の自由がある国の主人公・国民にこんな特定国家体制を押しつけることそのものが憲法違反であり、そんな国民投票すらできないはずだ。考えても見よ、国民の3分の2の賛成があれば、国民主権を否定することができるのか!?

コメント (1)
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