ウクライナ問題見通しでは、僕がここに書いてきたことは完全に誤りとなった。ロシアがウクライナに侵攻することはないとずっと述べてきたからだ。ロシアは、今後長きに渡って取り返しがつかぬと思い知らされることになる重大な国際戦争犯罪を犯した。そもそも、このロシアの戦争は、その原因であるとロシアが述べてきたはずのウクライナのNATO加盟を正しいものであったと事後に証明したことにしかならないではないか。それほどに、ロシアという国が国際的無法戦争国家だという証明を、この戦争がしたことになる。また、今時こんな無法戦争ができるほどに、ロシアがプーチン独裁国家だとも証明したことになる。
ただ、この戦争勃発にはサッカー選手本田圭佑もネット論議を呼んでいたように、どうしても不思議な一点がある。彼は、事前にこう述べていた。
『 プーチン大統領の記者会見を見たけど、もうウクライナがNATOへの参加拒否するしかないなという感想。僕が知ってるロシアのリーダーってのはここからの交渉は一切通用しない。「解決のために窓口は開いてる」というのはウクライナがNATOへ参加しないという1択しか受け付けない窓口やと思ってる』
この同じ事を、元外務省国際情報局長・孫崎享もそのネット記事でこのような歴史的解説をしていたのである。
『ウクライナ問題の根幹は①ウクライナのNATO加盟問題と②「ドネツク」と「ルガンスク」の独立問題。西側が真に沈静化を望むなら、かつて米独が約束した通りにNATOを東方に一段と拡大しない、ウクライナへの加盟は露の理解得られるまで棚上げと約束することだ。』
さて、今回ウクライナは、本田の言うように、どうして対ロ約束を破って加盟しようとしたのか。さらには、ゼレンスキー大統領は、どうして最後までこのふたつのことを述べていたのか。
「NATOには加盟する」
「ロシアの侵攻はない。あるという人はその証拠を見せて欲しい」
今となっては、元俳優であった政治素人のゼレンスキーが、誰かにこう信じ込まされていたとしか思えないのである。僕もまた、このゼレンスキーの見方に賛成だったことになるのだが。
「ウクライナがNATO加盟を図っても、ロシアは攻めてこない」
戦争を起こしたロシアが歴史的な戦争犯罪を犯した。が、それは前提として、ウクライナはどうして、国際的約束通りにNATO加盟棚上げを継続すると改めて表明し直さなかったのか。今となっては、これだけが明確に戦争を避ける道だったのだけれど。