政府のコロナ対策専門家会議が議事録を作っていなかったと分かり、非難されて、作るようになったという。マスコミ、新聞も同じようなもので、世界が荒れているコロナ関連で全く無責任な記事を流しても、何の反省もない。特に外信記事については、自分で調べないで、外国要人らの「誘導」を受けたそのままに書いたような「アクセス記事」に悪質なものが多すぎると読んできた。最近コロナ関連でここに書いた二例は、実質「アクセス記事」なのにそうでないように見せかけつつ、悪辣と言って良い内容を垂れ流している。いずれも「悪辣中国」関連記事なのだが、明らかに発信元はアメリカと思われる内容。それも今から観れば、馬鹿馬鹿しいほどの反中親米記事になっている。
長妻昭議員が国会で首相にこんな質問をしたが、これをもじって、僕はこう言いたい。
「統計問題を甘くみない方がいい。扱いによっては国家の危機になりかねない、という認識はあるのか」
「外信報道を甘くみない方がいい。扱いによっては国家の危機になりかねない、という認識はあるのか」
政府以上にマスコミの世論誘導の積み重なりが戦争をもたらすという、日本太平洋戦争やアメリカのイラク戦争の例を肝に銘じたいものだ。
米中冷戦は今や明らかに、斜陽著しい米が仕掛けつつあるもの。核停止条約抜け。身勝手な保護貿易強行。世界に数々の戦乱を引き起こして来たその原油政策。そして何よりも、国連敵視をますます強めているのは、戦前の日独と一緒。こんな中で、下記拙稿で扱っている二つのマスコミニュースは、今振り返れば安易すぎて笑える、軽佻浮薄丸出し、その上で内容が悪辣なのである。
【 随筆 情報・人心操作? 文科系
2020年03月25日 19時39分25秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
高齢者を肺炎で多く死なせるコロナウイルスで、世界が爆発しているようなこの三月二三日、新聞夕刊のとあるニュースには呆れ、驚いた。この記事の見出しは、こういうもの。
『無症状四三〇〇〇人、中国が計上せず』
感染者を少なく見せて来たというこの見だしは、誰が読んでも「悪い国だ」という「感じ」にしかならない。だが、その記事の中にも書いてあった英米などよりは国民の立場から見たら遙かに上等な検査体制なのである。この記事の中に、こんな文言が入っていたので、むしろこちらの方に僕は驚いてしまった。
『韓国では無症状感染者もカウントしているが、米国や英国、イタリアは医療関係者を除き無症状者は検査もしていないという』
さて、「無症状者は検査もしていない」英米、イタリアと、「無症状者も検査・隔離するけど、カウントには入れない」中国と、どちらが国民を救うことになるか。後者に決まっている。高齢者以外では症状が出ない感染者も多いこのウイルスに対しては、『検査で陽性になり隔離されていても症状のない人は確定患者に含めず、医療監視下に置かれたという』と同記事も述べている中国と比較して、『米国や英国、イタリア』は無症状感染者を野放しにしているからだ。
この記事内容を見ると、イタリアに死者が多い理由が分かった気がするし、米英は今後大丈夫なのかなと心配になった。が、福祉対象以外は民間健康保険が中心で無保険者も多くて「医療は個人持ち」というアメリカなどは、無症状者の公的検査など元々するわけがないのだろう。こんなアメリカでは、ただでさえインフルエンザで死ぬ人が毎年一万~数万人いるのだから、このコロナで死ぬ人は一体どれほどになるのか。
それにしても、韓国は立派である。だからこそなのだろう、コロナを抑えられそうな見通しも立ったようだ。その点日本は、ちょっと危うくなって来たのではないか。無症状者は同一集団発生に関わる範囲でだけ検査するという「クラスターの発見を中心にした検査方針」を採ってきたにもかかわらず、クラスターに無関係の症状者、つまり孤立発病者がここに来て増えてきたからだ。
などなどと思い巡らせつつ翌二四日朝刊を見ると、この同じ記事内容がまた載っている。『無症状四三〇〇〇人 統計に含めず』、『武漢「感染ゼロ」に疑念』。そして、前日よりももっと悪いことには、英米伊の「無症状者野放し」記述がこの日は皆無、全く省かれていた。つまり、「中国は悪い奴だ」と誰が読んでも受け取れる記事に変わっている。僕は、公憤に駆られてつぶやいた。
〈見ているが良い。こんな意味の「少なく見せる」国よりも、「無症状者を野放しにしてきた国」の方が死者などの被害ははるかに大きくなるはずだ〉。
するとどうだ、直後に読んだネット記事によると、アメリカではもうこんな事態になっていた。『米ジョンズ・ホプキンス大学の二三日夜の集計によると、前の日から一日で米感染者は八〇〇〇人増えた』。
アメリカのコロナ感染者が中国を追い越していくのは確実だろう。無保険者も多いアメリカでは、死者はいったどれだけになるのやら。こんなアメリカで公表されているコロナ死者が、発病者の多さの割にとても少ないのだが、この国に毎年膨大にでているインフルエンザ死者にコロナ死者を含めているに違いないと、僕は推理している。そういう「アメリカ・インフルエンザ死者」が、今年度インフルエンザ季節分だけでそろそろ二万人を超えているはずだ。】
【 安易、悪辣な外信報道 文科系
2020年04月15日 07時10分48秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
本日の中日新聞のある外信報道には、呆れてしまった。4面国際面のトップ記事「コロナで米軍展開力に懸念」という記事だ。内容を読んでから、「どこがどう発信した記事か」と発信元を見たらワシントンと北京それぞれ常駐の二人の特派員が共同して書いた記事と分かった。
何よりもまず、違和感を感じたのはこんな感じ。「米空母がコロナによって一艘ダメになったことは誰でも知っているはずで、そこにつけ込んで中国が何かしそうだ」という取材意図、問題意識を初めから感じたからである。まるで中国=火事場泥棒扱いの、アメリカ・ネオコン思想の宣伝文句のような・・・内容も案の定、そういうものになっている。記事中にも『「台湾を武力統一する好機」と、環球時報の電子版にある』とか、「3日に中国艦船がベトナム漁船に衝突、沈没させた」などというもの。これらの言葉、ニュースの前後関係はどうなっていたのかは全く書いてないのである。
「何を今時」とか、腹が立つことしきりであった。今、中国が台湾など近隣国を攻めるか? アメリカの自国第一主義、引きこもりにつけ込んで? これは完全に米ネオコン的発想であって、そんな誰かのリードで仕上げられた記事かも知れないとさえ、考え込んでいたものだ。
この新聞は国際面が極めて貧弱で、当局の発表をそのまま伝えるようなアクセス記事ばかりだが、グローバル政治の模索時代に後れを取っているだけで無く、一応の「調査報道」体裁がこんなネオコン的視点丸出しではどうしようもない。これも、外信記者に日本外務省の指導がよく行き届いていると言うことか。いろんな記事を読んでいると、今の外務省は安倍以上にアメリカべったりであると見ざるをえなくなっているからである。】