今日の中日新聞5面、「米、アフガン戦争犯罪捜査承認に反発」「国際刑事裁を制裁可能に」は、最近のアメリカが連発してきた対外「制裁」の、新たなとんでもない無法者ニュースだ。日本の言葉で言えば、「盗人猛々しい」極地だと思う。
国際刑事裁判所(ICC)が、『米兵や米中央情報局(CIA)要員がアフガン戦争で拷問やレイプなどの戦争犯罪を行った疑いが強いとみて』捜査を再開したことに、アメリカが反発して、ICC当局者への制裁を始めるのだそうだ。その理由がまた振るっていて、『米国の主権を侵害する恐れがあり』『米国の主権と国民を守る』『ICCは役立たずで無責任だ』とあった。対するICCやEU代表は、『大規模な残虐行為の責任を明確にするわれわれの努力を損ねる』、『深刻な懸念』と表明とのこと。なお、アメリカはICCには加盟していないのだそうだ。
さて、このニュースをどう評したら良いのだろう。ただでさえ、国連を振り切って、訳の分からない「有志国集団安保」として出掛けた戦争である。その国に2001年からこれだけ長く居座った米軍が重ねてきた拷問やレイプなど「大規模な残虐行為」を裁くのが、どうして「米国の主権を侵害する」のであるか。例によって暴力にものを言わせて、屁理屈も良いところ。「米国による主権侵害」というならば、よく分かる話だ。
そもそも、こんな戦争が長く放置されて、こんな大規模残虐行為が続いてきた事に諦めが先に立っているのか、世界が無感覚になりすぎていると思う。マスコミ記事を読んでいても「戦争? アメリカの? まーこれが人間だよ」という感じ・・・。第二次大戦直後に示された「世界大戦の反省」の時代、雰囲気を体験したものからすれば、アメリカが起こす戦争に、世界が慣れっこになりすぎている。その暴力による反国際社会的行為を普通の、自然な事のように・・・。
アフガンから始まった戦争が、イラク、シリア、さらには本命のイランへと続き、関連死含めて200万ほどの人を殺し、何百万という難民を世界にばらまいてEUをパニックにさせたのである。その始まりの地における「大規模な残虐行為」が裁けない?・・・。神も仏もないものか! 米国民の4分の1を占めると言われ、トランプ当選の原動力となったキリスト教福音派には、「神」などいないのだろう。