人間の感覚なんて、モロいものだと思う。弦が1本無い弦楽器による四重奏曲。Aの調べは、不安定な、か細い旋律から始まった。選曲が見事だった。そのために「1本無い」が頭の中を支配して、それを元に論理が構成されていく。一度構築されると、音がそういう風に聞こえてくる。音楽関係の芸能人ほど、見事にハマった。自分が判断した理由を滔々と述べるさまは、見るに値する。
オレも最初はそう思った。しかし聞いているうちに、ハーモニーが綺麗な音がしてきた。あれ、意外と心地いい音がしてるぞ。豊かな音というのは、聞いていて心地いい。これが音楽の本質だろうなあ。
そう思ってBの曲を聴くと、豊かな感情は湧かなかった。ステレオで聞いているとはいえ、たまたまかも知れないが。いつも当たるとは限らない。
そう思ってBの曲を聴くと、豊かな感情は湧かなかった。ステレオで聞いているとはいえ、たまたまかも知れないが。いつも当たるとは限らない。
舌もまた、不安定な器官だと思う。マグロとハマチとハンペン。単品で出されたら、間違う人はいない。のり巻きの具だからね。舌全体で味わうには、スプーン1杯では足りないだろう。そこを補うのが頭脳だ。舌の表面には、得意分野が分かれた突起が散らばっている。難しいと思うよ。
昨日の朝。やけに暖かくて、太陽がボーッと見えて、何も考えず夏掛け布団を干した。冬の間、頭を保護していた布団で、いい加減ダニもいるだろうから、早く干したかった。
午後、日が陰って、取り込んだが、ろくに叩きもしなかった。18時のローカルニュースで、秋田にも相当黄砂がやってきて来ていると言うので、あわててベランダへ戻り、ほこりを払った。
布団を抱えて部屋に戻ると、「シルクロード」のかほりがした。不思議と懐かしいような香りだった。嫌いじゃなかった。
そうか~。こうやって、三蔵法師さんや偉い人々が渡って来た黄土高原の砂漠の砂なんだろうなあ。と思うと、まるで海外旅行をしているようじゃないか。一瞬で、シルクロードまで飛んでいたんだ、オレは。
とっても得した気分だ。タダで、海外旅行をした。
おーい、みんな。海外旅行、してるか~。もったいないぞ~。