お待たせ。つまり、空飛ぶ乗り物は気体の流れを制御していることが
お分かりでしょう。翼の上と下の圧力の差で浮いているわけです。これをジェットエンジン
を使わずに実現するには空気をイオン化する必要があります。かなりのエネルギーを
必要とするワザです。しかし基本は電磁流体力学(MHD)によって証明されています。
日本にはMHD推進の実験船「大和」がありました。1992年の日本はかなりいいセン
行ってました。超伝導による世界で初めての、スクリューを使わない船です。
理屈は皆さん学校で習った、フレミングの左手の法則です。電・磁・力のことです。
「大和」は胴体の間を海水が流れるように作られていて、(進行方向に対して)横方向に
「磁界」を作り、縦方向(上下)に「電流」を流すと、真ん中の海水には「力」が掛かり、
船尾方向に海水が流れて行きます。
結果的に「大和」は前に進みます。電磁力で海水を押し出して進むのです。海水は空気と
違って、始めからイオン化していますから、話が早いです。このことをフランスの科学者
プチ先生は本の中で書いています。しかし惜しいことに胴体を二つにしたところから
先に進むことができませんでした。プチ先生いわく、胴体のまわりの水を動かしたら
航跡も立てずに進むことができたそうです。ちょうどゾウリムシのようにです。
まわりの繊毛を動かして進むと、波が乱れないのです。これがなぜ重要かというと、
ジェット戦闘機の衝撃音と関係してきます。マッハを超える時、戦闘機は衝撃波を
発生します。自分で作った空気の波を機体が超えるからです。この波をゾウリムシは
消して進むことができるのです。空気中の物体も、周りの空気をコントロールすれば
衝撃波も出さず、音速を超えることができるのです。コンコルドは空気抵抗との
戦いに燃料のほとんどを取られたために消えていきました。
UFOの飛び方は1種類ではないでしょうが、これがMHDを使った飛び方です。
日本の実験船「大和」は惜しいところまで行ってたんです。ゾウリムシに着目して
しかも原子炉を使うことができたなら、推進音も出さずに海中を高速で移動する
物体が完成していたでしょう。大量の貨物を新幹線より速く運ぶことができる
現代の「北前船」が活躍していたかも知れません。
大量の電気エネルギーを自由に作り出せるアメリカでは、30年以上前にすでに
時速2000km以上で航行するMHD魚雷を所有していたそうです。この魚雷は
フランスの15倍は速く、6秒もあれば敵の潜水艦を破壊できるそうです。つまりは
原子力空母が行動を開始する前に、それを破壊してしまうことが可能なのです。
そして空では10年以上前からMHDとターボジェットエンジンの組み合わせで
飛行する「オーロラ」と呼ばれる極超音速機が活躍しています。
その性能は時速1万キロで高度60kmを航行できるほどです。もはや「衛星」化
しうる偵察機で、SR-71「ブラックバード」の後継機になります。
この話が信用できる証拠は、ほかならぬジャン・ピエール・プチ先生が自分で
書いているということです。なぜならアメリカが応用しているMHDに関する最先端技術は
プチ先生が、本国フランスでさえ相手にしなかった理論を学会で発表した本人だからです。
誰も具現化できないと思われていたアイディアを、アメリカが秘かに開発していた
ということを物語っているのです。