私は目覚めたとき大体夢を思い出す。するとバックに流れる曲も一緒に思い出す。
今朝は「京都の恋」だった。このメロディ、斬新だ。古くない。まったく日本的でありながら、どこか日本離れしている。それもそのはず、ベンチャーズの作曲だった。
ベンチャーズはアメリカのバンドで、ウォーク・ドント・ラン、ダイヤモンド・ヘッド、パイプラインなどを立て続けに出して、日本でも大人気のバンドだった。と過去形で言うのは失礼か。メンバー交代しながら今も活動しているらしい。
来日50回を超え、日本びいきであると同時に、売り上げは本国を軽く上回る。このバンドがなぜ、日本人のハートをがっちりつかむメロディを作曲できたのか。不思議だ。
一説には古くからある「さくらさくら」を聞かせ、日本人の好きなコード進行を学ばせたという。それにしても名曲だ。
最初は「二人の銀座」「北国の青い空」それから「京都の恋」「雨の御堂筋」「京都慕情」と続く。京都慕情も好きだなあ。これも洗練された素晴らしい曲だ。ことにメロディラインの合間に入る琴のパラランというのが実に日本的だ。日本的でありながら、垢抜けしている。もう「日本のこころ」を表現して余りある、と言おうか。
時は昭和の45年。高校生だった。その直前の年に流行ったルールルルの由紀さおり「夜明けのスキャット」と共に、私の血となり肉となり、体の構成要素となった歌謡曲群と言っても言い過ぎではない。