ピラミッドの条件は、4角錐とは限らない。階段状ピラミッドは中南米に多くある。
また石積みでなくともよい。自然の山を加工したものでもいい。
重要なのは、その周りに祭祀遺構があること。
頂上に祈りのためのスペースがあり、太陽石があり、そのまわりに石組遺構がある事。
もちろん美しい三角形をしていること。
黒又山はそれらの条件を満たしている。それどころか、数ある日本のピラミッドと
言われる山の中でも典型的な山だ。東西南北に神社を配しているほかに、
夏至、冬至のライン上にもある。
日本環太平洋学会の調査で地中レーダー探査をした結果、10段のテラス状構造が
確認された。
頂上部からは4千年前の縄文後期の土器が出土する。つまり、4千年以上前に
山を整形して階段状ピラミッドに仕上げた可能性が高い。
お馴染みになったら登ろう。傾いた太陽が気に掛かる。
ここから南西に2kmの場所に大湯環状列石はある。
魚眼でなければ全体は入らない。しかしサークルの輪が大きい割に
ひとつひとつの石は大きくない。多分だけど、世界遺産の候補になって
視察に来た人は、イギリスのストーンヘンジを想像して、あれ、思ったより
小さいな、と思ったかも知れない。といっても一人で運べる大きさではない。
始めて見た時、墓だなと思った。しかし人骨はほとんどないらしい。
道路を挟んで向こう側に、もっと典型的な日時計があるが、こっちほど
整備されていない。なにしろ広い。
なんにしろ、幸せな連中だ。
こんな経験はめったにできるものではない。