松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

二度目の「あなたへ」

2014-11-24 08:45:00 | 映画

 同じ映画を立て続けに見た。しかし同じ映画とは思えないほど動揺した。一度目は、賞を取ったという視点から、凄い場面があるんだろうと半ばそういう先入観から見ていた。だから、物語がただ淡々と進んでいった。(ように見えた)

 しかし今回は高倉健という人格を、じっくり観察した。「人を想う心」それが人間高倉健の生き方だし、この作品の神髄だろう。健さんは、言葉の数以上に多くのことを語る、まあ皆役者はそうなんだが、セリフを切り出す前の「間」と「表情」がまさしく何かを物語っている、稀有な役者だと思う。だからそれをいつくしむように、一場面、一場面を鑑賞した。すると何だか分からないが、目尻からじわーっと、水が染み出てくるのだった。ずーっと拭い、拭い、見ていた。散骨したいと漁船を探す場面で、漁協から、漁師からやんわり断られる。この時の若い二人の言葉が、逆にこの作品のテーマを浮き上がらせる。今までの旅で、亡き妻との想い出で、相手を想う気持ちの深さを味わってきたところで、まったく反対の言葉が出てくる。「こんままじゃ、薄香の漁師は薄情だってことになるばい」この対比によって、人情が深みを増す。

  最後の健さんのセリフ。「きょう自分は、鳩になりました。」どっぱーっ。水分を補給しなくっちゃ。

 ここは、払田の柵。旧仙北町と旧千畑町にまたがる、平安時代の遺跡。

建物がないせいか、ただただ広い。1370m×780m。都会の皆さんに分かりやすく

説明すると、東京ドームの18倍くらい。人がいるんですが、見えますか。

 ここですよ、ここ。

 ほらね。AKTのアナウンサーだった鈴木陽悦氏に似ていた。彼はクロマンタの発掘調査の

時、一緒に取材に同行してインタビューし、「興味深いデータ」を目撃した

ラッキーな人間の一人だ。

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高倉健「あなたへ」のあとに。

2014-09-29 07:10:18 | 映画

 映画館で映画を観るのは、若い頃苦痛だった。それは座高の高さと関係がある。後ろの席の人が見えないだろうと、背を屈めるくせがあって、そのあとは、もっぱら一番端っこや、最後尾で見るようになった。だから今のように、そんなこと気にしないで見られるように広く高くなってからも、通ったことはない。つまり、封切を見たことは一度もない。

 「あなたへ」を見た。巨匠ビートたけしや、SMAPの剛君が出てきて、妙なキャストなもんだなあ、と考えながら思った。連れが亡くなってから始まるストーリーの、最後の結末は、いったいどんな展開になるのだろう、淡々と終わるのだろうか。見終わって「あなたへ」が女性の言葉である、という事実に気が付いた。なるほど、余貴美子の言葉だったのか、と考えた。

 それから部屋の換気をして寝ようと、窓を開けた。メガネを外していたので、景色がボケていた。鉄道と駅舎の明かりが見えた。それは初めて見る景色だった。細い月なら二つ見えるこの目が、街灯を花火が開いたように大きくしていた。黄色みがかった白や、青味がかった白、黄色、赤。それぞれの花火が開いていた。しかも乱視のせいで、まともな放射状の花火ではない、円形だがランダムに開いた、幾何学的に見ごたえのある花火だった。とても新鮮だった。ボケた光にピントを合わせて、鑑賞できるなんて。

 テレビは熱を発する。ましてアンプ経由でスピーカーを鳴らしているのだから、部屋の温度は下がらない。しかしハイビジョンで、好きなだけボリュームを上げて観る映画は、映画館の迫力に負けないものがある。その証拠に、青春時代に盛岡ピカデリーで見た「個人教授」ナタリー・ドロン、ルノー・ベルレーのサウンドトラックは、映画館の大きなスピーカーから出るドラムの音を、忠実に再現して、まったく当時の気分に浸ることができたものだ。

 ちなみに、私の中でそれより名画なのは、「バニシングポイント」。中で使われたシャイ・ライツの「Oh GIRL」がなかなか、いがった。さらにそれを上回るのが「カサブランカ」だろう。モノクロでありながら、テンポの速い展開力は、内容を知っていながら最後まで見入ってしまう魅力にあふれている。沢田研二が曲に引用したのも、無理はない。

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かぐや姫の物語に寄せて、竹取物語はSFコミカル小説

2013-11-10 09:53:30 | 映画

まずはスケートの印象から。真央ちゃんは直前の6分間練習でなかなか

トリプルアクセルを飛ぶタイミングが来ない。あと1分です、のアナウンスが

あってからの2度目、最後の最後にあと数十秒というタイミングで見事決めた。

その時の歓声がすさまじかった。本番での最初のジャンプ。トリプルアクセルで

微妙に足をついた次の瞬間、会場はワーッと歓声が上がったが、アナウンサー

は冷静ではなかった。「ん、あーっ!」どっちともつかない、踏ん張りようだった。

Pb061814


で、映画化される「かぐや姫の物語」だが、高畑監督は宮崎駿より年上にも

かかわらず、まだやる気満々のようだ。だから引退発表に関しても、自分は

信用していない、という趣旨のことを言っていた。宮崎駿が引退しようとオレには

関係がない。彼にはがっかりした。永遠のゼロの映画化に対しても、いちゃもん

つけるようなケチな根性の持ち主と分かったから。あんな思想の持ち主とは。

作品自体は良くできているから、これからも繰り返し見るだろうとは思うが。

本題に入る。「かぐや姫の物語」が封切りされるそうなので、以前書いた

竹取物語の感想文を添付したいと思う。大人になってから、あらためて読むと

意外とすんなり入ってくる。昔の言葉が方言として残っている場合もある。

「なよ竹のかぐや姫」と名付けた人を、三室戸の斎部(いんべ)の秋田という。

なにも関係ないけど、一応。

あと、「よばひ」の語源についても、すでに出てくる。

竹取物語は世界最古のひらがなによる文学だが、私はこれは時代を超越した

優れたSFコミカル小説だと思う。

「kaguyahime.pdf」をダウンロード

※写真は通年で狂い咲きしている、一枝の「ハコネウツギ」

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